刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 764

乙:最近、寝不足な気がします。

今日の問題も、2問あります。

ア.債権者は,自己の債権の履行期が到来していなくても,保存行為については,債務者に代位して債務者の権利を行使することができる。
エ.債権者Aが債務者Bの第三債務者Cに対する債権を代位行使する場合において,CがBに対する債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出したときは,Aは,BがCに対して主張することができる再抗弁事由のほか,Aの独自の事情に基づく再抗弁も提出することができる。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?


甲:どうきょう?

乙:アについて、民法423条2項は

「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。」

と、規定しています。


エについて、最判昭和54年3月16日は

「 しかしながら、本件訴訟は、被上告人が、民法四二三条一項の規定に基づき、訴外会社と上告人との間で締結された荷為替手形の取立金からの前示振込委任契約を訴外会社に代位して解除し、その結果、上告人の訴外会社に対する支払義務が具体化するに至つた右取立金の返還債務につき、被上告人が訴外会社に対して有する前示売買代金債権を保全するため、さらに訴外会社に代位して自己に直接支払を求めることを内容とする債権者代位訴訟であるから、被上告人の提出にかかる前記権利濫用の抗弁の採否は、まず本件訴訟の右の性格を考慮して決すべきものであるところ、債権者代位訴訟における原告は、その債務者に対する自己の債権を保全するため債務者の第三債務者に対する権利について管理権を取得し、その管理権の行使として債務者に代り自己の名において債務者に属する権利を行使するものであるから、その地位はあたかも債務者になり代るものであつて、債務者自身が原告になつた場合と同様の地位を有するに至るものというべく、したがつて、被告となつた第三債務者は、債務者がみずから原告になつた場合に比べて、より不利益な地位に立たされることがないとともに、原告となつた債権者もまた、その債務者が現に有する法律上の地位に比べて、より有利な地位を享受しうるものではないといわなければならない。そうであるとするならば、第三債務者である被告の提出した債務者に対する債権を自働債権とする相殺の抗弁に対し、代位債権者たる原告の提出することのできる再抗弁は、債務者自身が主張することのできる再抗弁事由に限定されるべきであつて、債務者と関係のない、原告の独自の事情に基づく抗弁を提出することはできないものと解さざるをえない。しかるに、本件において被上告人の提出した権利濫用の抗弁について原審がこれを採用した理由として判示するところは、要するに、上告人の相殺の主張は、訴外会社に対する関係ではともかく、被上告人との関係においては取引の信義則に反し権利の濫用として許されない、というのであるが、債権者代位訴訟における当事者の地位に関する前記説示に照らすと、本訴債権が相殺により消滅したと本件訴訟において主張することが訴外会社にとつては信義則に反し権利の濫用とならないため相殺による本訴債権の消滅を肯定すべき場合においても、なお被上告人との関係においては右相殺の主張が取引の信義則に反し権利の濫用となるものとして相殺の主張が容れられないものとすることは、債権者代位訴訟である本件訴訟の性質からみて、債権者たる原告の地位を債務者が訴訟を追行する場合に比して有利にするものとして、許されないものといわなければならない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、エが誤りです。