刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 879

乙:甲先生、ハト派姿勢とは、どういう意味でしょうか。

今日の問題は

代表取締役でない者が,自ら会社の代表者として代表取締役の就任の登記の申請をしたことにより,その旨の登記がされたときは,その会社は,その登記を自らの申請に基づく登記と同視するのを相当とするような特段の事情がない限り,善意の第三者に対しても,その者が代表取締役でないことを対抗することができる。
(参照条文)民法
第112条 代理権の消滅は,善意の第三者に対抗することができない。ただし,第三者が過失によってその事実を知らなかったときは,この限りでない。


甲先生、よろしくお願いします!

甲:最判昭和55年9月11日は

「 原審は、商法一四条の適用に関する被上告人の主張について判断するにあたり、会社の代表取締役である取締役が死亡により退任した場合において、取締役が故意に不実の代表取締役就任の登記をしたときは、会社は、商法一四条により、その者が代表取締役でないことをもつて善意の第三者に対抗することができない、と解したうえ、上告会社の取締役であるDが、代表取締役である取締役Eの死亡後、なんらその事実がないのに自己が代表取締役に選任された旨の虚偽の取締役会議事録を作成して不実の代表取締役就任の登記をし、次いで、上告会社の代表取締役として同会社所有の本件不動産を被上告人に売り渡した、との事実を確定し、上告会社は、商法一四条により、右Dが代表取締役でないことをもつて善意の第三者である被上告人に対抗することができない、と判断している。原審の右判断は、会社の代表取締役である取締役が死亡により退任した場合には、代表権のない取締役が代表取締役の資格を偽つて申請した登記であつても会社がした登記たりうるとの見解のもとに、商法一四条を適用して上告会社の責任を認めたものであることは、その判文に照らして明らかである。
しかしながら、商法一四条は、不実の事項を登記した者に故意又は過失がある場合には、その登記を信頼して右登記者と取引関係に入つた者を保護し、その限りにおいて不実の登記という外観を作出した者に責任を課した規定であるから、同条が適用されるためには、原則として、右登記自体が当該登記の申請権者の申請に基づいてされたものであることを必要とし、そうでない場合には、登記申請権者がみずから登記申請をしないまでもなんらかの形で当該登記の実現に加功し、又は当該不実登記の存在が判明しているのにその是正措置をとることなくこれを放置するなど、右登記を登記申請権者の申請に基づく登記と同視するのを相当とするような特段の事情がない限り、同条による登記名義者の責任を肯定する余地はないといわなければならない。しかるに、前記原審の認定した事実によれば、本件登記はDが上告会社の代表者としてした申請に基づいてされたものであるところ、右Dは、上告会社の単なる取締役であつて、代表取締役に選任された事実はないというのであり、右のような単なる取締役は、法律に特別の定めがある場合を除き、会社を代表して登記申請その他の対外的な行為をする権限を有せず このことは 会社の代表取締役が死亡により退任したため会社を代表する権限を有する者を欠くに至つた場合でも異なるところはないから、前記登記は、結局、上告会社の代表権を有しない者がほしいままに会社代表者名義を冒用してした無効の申請に基づくものであり、上告会社の申請に基づいてされた登記ということができないものである。
そうすると、前述したように、本件登記を上告会社の申請に基づく登記と同視することができるような特段の事情のない限り、右登記につき商法一四条を適用して上告会社の責任を肯定することはできない筋合であるところ、原審は、かかる特段の事情の存在を認定することなく、直ちに上告会社に右規定による責任を認めたのであるから、原判決には右規定の解釈適用を誤つた違法があるといわざるをえない。
そして、右違法が原判決の結論に影響を及ぼすものであることは明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。