刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 992

乙:I've been walking
Along a crooked path

出典:http://www.songlyrics.com/martin-page/in-the-house-of-stone-and-light-lyrics/

感想:なんとなく明るい。

今日の問題は、予備試験平成30年刑事訴訟法第25問ア.です。

刑事訴訟法第321条第3項所定の書面の作成主体は「検察官,検察事務官又は司法警察職員」とされているところ,火災原因の調査,判定に関して特別の学識経験を有する者は,私人であっても同項の作成主体に準ずるものと解されるから,同人の作成した燃焼実験報告書についても,同項の書面に準ずるものとして,同項により証拠能力を認めることができる。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:Salon de Kurumicco..

乙:刑事訴訟法321条3,4項は

「○3 検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
○4 鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。」

と、規定しています。

最決平成20年8月27日は

「記録によれば,本件の第1審公判において,本件非現住建造物等放火罪に係る火災の原因に関する「燃焼実験報告書」と題する書面の抄本(第1審甲100号証。以下「本件報告書抄本」という。)が,その作成者の証人尋問の後に,同法321条3項により採用されたところ,上記作成者は,私人であることが明らかである。
原判決は,本件報告書抄本が,火災原因の調査を多数行ってきた会社において,福岡県消防学校の依頼を受けて燃焼実験を行い,これに基づく考察の結果を報告したものであり,実際に実験を担当した上記作成者は,消防士として15年間の勤務経験があり,通算約20年にわたって火災原因の調査,判定に携わってきた者であることから,本件報告書抄本は,捜査機関の実況見分に準ずるだけの客観性,業務性が認められ,同項を準用して証拠能力を認めるのが相当である旨判示した。
しかしながら,同項所定の書面の作成主体は「検察官,検察事務官又は司法警察職員」とされているのであり,かかる規定の文言及びその趣旨に照らすならば,本件報告書抄本のような私人作成の書面に同項を準用することはできないと解するのが相当である。原判断には,この点において法令の解釈適用に誤りがあるといわざるを得ないが,上記証人尋問の結果によれば,上記作成者は,火災原因の調査,判定に関して特別の学識経験を有するものであり,本件報告書抄本は,同人が,かかる学識経験に基づいて燃焼実験を行い,その考察結果を報告したものであって,かつ,その作成の真正についても立証されていると認められるから,結局,本件報告書抄本は,同法321条4項の書面に準ずるものとして同項により証拠能力を有するというべきであり,前記法令違反は,判決に影響を及ぼすものではない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、誤りです。