刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 2545

乙:I am flirting with this guy so you can watch my crime.

 

出典:https://youtu.be/cdHVboNNkAo?feature=shared

 

感想:アルクによると、flirt withは、面白半分に(人)の気を引く、などの意味です。

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第12問③です。

 

学生A、B及びCは、次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑤までの( )内から適切な語句を選んだ場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.19])
【会 話】
学生A.状態犯とは、法益侵害の発生と同時に犯罪が終了するが、その後も法益侵害状態が残存する犯罪です。傷害罪がその典型です。これに対し、継続犯とは、法益侵害が継続している間は犯罪の継続が認められる犯罪であり、監禁罪や、①(a.保護責任者不保護罪・b.窃盗罪)がこれに当たると考えられます。
学生B.住居侵入罪を状態犯と解すべきか、継続犯と解すべきかは争いがあります。②(c.状態犯・d.継続犯)と解する立場は、反対説によると、侵入後の現場滞留についても住居侵入罪が成立し、不退去罪が規定されている意味が失われてしまうと同説を批判します。
学生C.私は、継続犯は、③(e.構成要件該当行為・f.構成要件的結果)が継続する犯罪であると考えます。私の見解からは、被害者の監禁中に監禁罪の法定刑を引き上げる新法が施行された場合、それ以降の監禁については、④(g.新法・h.旧法)が適用されることになります。
学生A.私は、Cさんの継続犯に関する理解には賛成できません。例えば、行為者が被害者を監禁した後に眠り込んだ場合であっても犯罪は継続しますが、行為者が眠り込んだ後には意思に基づく身体の動静がない以上、Cさんの見解のように理解するのは困難だと考えるからです。
学生B.ところで、状態犯についても、犯罪の終了時期と既遂時期の関係について考える必要があります。私は、傷害罪については、両者は、⑤(i.常に一致する・j.一致するとは限らない)と考えます。被害者が一旦負傷した後、その傷害が悪化し続けることがあるからです。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:「この発言の『Cさんの見解』として適切なのは、継続犯は構成要件該当行為が継続する犯罪であると考える見解である。なぜなら、監禁罪は継続犯であるから、行為者が被害者を監禁した後に眠り込んだ場合であっても、監禁罪は継続するはずであるのに、継続犯は構成要件該当行為が継続する犯罪であると考える見解に立つと、行為者が眠り込んだ時点で行為者の構成要件該当行為(監禁)の継続が止まり、監禁罪も継続しないこととなる以上、監禁罪を継続犯と理解するのは困難だからである。

 他方、継続犯は構成要件的結果が継続する犯罪であると考える見解に立つ場合、たとえ行為者が被害者を監禁した後に眠り込んだ場合であっても、被害者の場所的移動の自由を侵害し続けている以上、監禁罪は継続するので、監禁罪を継続犯と理解するのに困難はない。」

 

株式会社 東京リーガルマインド LEC総合研究所 司法試験部『司法試験&予備試験 単年度版 短答過去問題集(法律基本科目)令和4年』365頁

 

 

したがって、③には「e.構成要件該当行為」が入ります。

しほうちゃれんじ 2544

乙:Look me in my eyes

 

出典:https://www.musixmatch.com/lyrics/Beatrix-Dexter/Medicine-Woman

 

感想:アルクによると、look in someone's eyesは、(人)の目をのぞき込む、などの意味です。

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第6問です。

 

賄賂罪の保護法益について、学生A及びBが次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑤までの( )内に後記アからクまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.12])
【会 話】
学生A.私は、賄賂罪の保護法益について、公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼であると考えます。そして、賄賂罪の基本類型は、(①)と考えます。(①)において、現実に公務が賄賂によって左右されていない場合も処罰の対象とされるのは、公務が賄賂によって左右されたのではないかという不信感を国民に抱かせるからです。
学生B.判例と(②)立場に立つのですね。しかし、「社会一般の信頼」という概念は不明確ではありませんか。私は、端的に、公務員の職務の公正こそが賄賂罪の保護法益であると考えます。私の立場からは、(③)が賄賂罪の基本類型と考えられます。
学生A.その場合、(①)は、どのように位置付けられるのですか。
学生B.(④)を根拠に処罰する危険犯と位置付けることになります。
学生A.Bさんの立場からは、(⑤)の職務行為に関して賄賂を収受等した場合にも賄賂罪が成立することを説明するのは困難ではありませんか。
学生B.職務遂行時における賄賂への期待に基づく職務への影響の可能性を理由に可罰性を肯定することは可能であると考えます。
【語句群】
ア.単純収賄罪 イ.加重収賄罪 ウ.同じ エ.異なる
オ.不正な職務行為が行われる危険
カ.職務の公正に対する信頼が害される危険
キ.過去 ク.将来
1.①ア ②ウ ③イ ④オ ⑤キ
2.①ア ②エ ③イ ④カ ⑤キ
3.①ア ②ウ ③イ ④オ ⑤ク
4.①イ ②ウ ③ア ④カ ⑤ク
5.①イ ②エ ③ア ④カ ⑤ク

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:「学生Bの立場に対しては、過去の職務行為に関して賄賂罪が成立することを説明するのは困難であるとの批判がなされている。なぜなら、賄賂の収受が職務行為後に行われても、既に行われた職務行為に対して因果性を及ぼすことは不可能だからである。」

 

株式会社 東京リーガルマインド LEC総合研究所 司法試験部『司法試験&予備試験 単年度版 短答過去問題集(法律基本科目)令和4年』341頁

 

 

したがって、⑤には「キ.過去」が入りす。

しほうちゃれんじ 2543

乙:But it never gives me a reason, about what we’re fighting for

 

出典:https://youtu.be/mwHBTxAcM9M?feature=shared

 

感想:アルクによると、give someone a reasonは、理由を(人)に説明する、などの意味です。

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第2問5です。


次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
5.甲は、日本国外で販売する目的で、日本国内において、わいせつな内容を含む書籍を所持した。この場合、甲にわいせつ文書有償頒布目的所持罪が成立する。

 


甲先生、よろしくお願いします!

 


甲:刑法175条は

 


「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。」

 


と、規定しています。

 


最判昭和52年12月22日は

 


「 ところで、刑法一七五条の規定は、わが国における健全な性風俗を維持するため、日本国内において猥せつの文書、図画などが頒布、販売され、又は公然と陳列されることを禁じようとする趣旨に出たものであるから(このことは、刑法二条、三条
の国外犯の処罰例中に同法一七五条が掲げられていないことから明らかである。)、
同条後段にいう「販売の目的」とは日本国内において販売する目的をいうものであり、したがつて、猥せつの図画等を日本国内で所持していても日本国外で販売する目的であつたにすぎない場合には同条後段の罪は成立しないと解するのが相当である。これを本件について見ると、第一審判決挙示の証拠によれば、被告人Cは、昭和四八年九月ころ、スウエーデンのポルノ書籍販売業者から本件写真原板を買い受けたのち、東京都内の印刷業者に依頼し右写真原板を用いてカラー写真雑誌多数冊を製作させたうえ、これを日本国内で販売したり又は販売の目的で所持していたところ、昭和四九年二月中検挙され、右写真雑誌多数冊を押収され、取り調べられるにいたつたこと、そのようなことがあつて、同被告人においては、アメリカ商社の日本駐在員などをしアメリカに出張などしていた被告人Aを介して、右写真原板をアメリカで売却しようと考え、同年一一月初旬ころ、同被告人に対し、右の趣旨を依頼してこれを預けたこと、被告人Aにおいては、これを引き受けたのち、国際電話でアメリカの関係業者数社に対し右の売却の交渉をしたりしていたことを認めることができるのである。以上の事実に照らすと、被告人Cが右写真原板を被告人Aに委託した主な動機は、売却代金の取得にほかならなく、アメリカで売却するということ自体はその方便にすぎないとみられるのであるが、しかし、本件起訴の対象である前記日時における所持に際し、被告人C及び同Aが、日本国内で売却する目的をも合わせもつていたと断定することも困難なところであり、結局、被告人両名の右写真原板の所持について、日本国内で販売する目的があつたとの証明は十分でないといわなければならない。」


と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。

しほうちゃれんじ 2542

乙:The quiet decided run its nails on a chalkboard

 

出典:https://youtu.be/ReixRxbFNZI?feature=shared

 

感想:アルクによると、nail onは、くぎで~に留める、という意味です。

 

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第2問3です。

 

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
3.甲は、自らが管理する動画配信サイトにわいせつな動画のデータファイルをアップロードし、同サイトを利用した不特定の顧客によるダウンロード操作に応じて、同ファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータに自動的に送信させ、同コンピュータに記録、保存させた。この場合、甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法175条1項後段は

 

「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。」

 

と、規定しています。

 

最決平成26年11月25日は

 

「3 そこで検討するに,刑法175条1項後段にいう「頒布」とは,不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうと解される。
そして,前記の事実関係によれば,被告人らが運営する前記配信サイトには,インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備え付けられていたのであって,顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず,被告人らは,これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきである。したがって,不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても,その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たる。
また,前記の事実関係の下では,被告人らが,同項後段の罪を日本国内において犯した者に当たることも,同条2項所定の目的を有していたことも明らかである。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。

しほうちゃれんじ 2541

乙:I trip on my words again

 

出典:https://genius.com/Trousdale-if-im-honest-lyrics

 

感想:アルクによると、trip onは、~につまずく、という意味のようです。

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第1問3です。

 

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
3.甲は、殺意をもってAに向けて拳銃を発射したところ、その弾丸がAを貫通し、その背後にいて甲がその存在を認識していなかったBにも命中し、その結果、Aが死亡し、Bが重傷を負った。この場合、甲には、Aに対する殺人罪が成立するが、Bに対する殺人未遂罪は成立しない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:最判昭和53年7月28日は

 

「 所論は、要するに、刑法二四三条に規定する同法二四〇条の未遂とは強盗が人を殺そうとしてこれを遂げなかつた所為をいうのであるから、原判決がAに対する傷害の結果につき被告人の過失を認定したのみで、何らの理由も示さず故意犯である強盗殺人未遂罪の成立を認めたのは、右法条の解釈を誤り、その結果、当裁判所昭和二三年(れ)第二四九号同年六月一二日第二小法廷判決、同三一年(あ)第四二〇三号同三二年八月一日第一小法廷判決と相反する判断をしたものである、というのである。
 よつて検討するのに、刑法二四〇条後段、二四三条に定める強盗殺人未遂の罪は強盗犯人が強盗の機会に人を殺害しようとして遂げなかつた場合に成立するものであることは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和三一年(あ)第四二〇三号同三二年八月一日第一小法廷判決・刑集一一巻八号二〇六五頁。なお、大審院大正一一年(れ)第一二五三号同年一二月二二日判決・刑集一巻一二号八一五頁、同昭和四年(れ)第三八二号同年五月一六日判決・刑集八巻五号二五一頁参照)、これによれば、Aに対する傷害の結果について強盗殺人未遂罪が成立するとするには被告人に殺意があることを要することは、所論指摘のとおりである。
 しかしながら、犯罪の故意があるとするには、罪となるべき事実の認識を必要とするものであるが、犯人が認識した罪となるべき事実と現実に発生した事実とが必ずしも具体的に一致することを要するものではなく、両者が法定の範囲内において一致することをもつて足りるものと解すべきである(大審院昭和六年(れ)第六〇七号同年七月八日判決・刑集一〇巻七号三一二頁、最高裁昭和二四年(れ)第三〇三〇号同二五年七月一一日第三小法廷判決・刑集四巻七号一二六一頁参照)から、人を殺す意思のもとに殺害行為に出た以上、犯人の認識しなかつた人に対してその結果が発生した場合にも、右の結果について殺人の故意があるものというべきである。
 これを本件についてみると、原判決の認定するところによれば、被告人は、警ら中の巡査Bからけん銃を強取しようと決意して同巡査を追尾し、東京都新宿区ab丁目c番d号先附近の歩道上に至つた際、たまたま周囲に人影が見えなくなつたとみて、同巡査を殺害するかも知れないことを認識し、かつ、あえてこれを認容し、建設用びよう打銃を改造しびよう一本を装てんした手製装薬銃一丁を構えて同巡査の背後約一メートルに接近し、同巡査の右肩部附近をねらい、ハンマーで右手製装薬銃の撃針後部をたたいて右びようを発射させたが、同巡査に右側胸部貫通銃創を負わせたにとどまり、かつ、同巡査のけん銃を強取することができず、更に、同巡査の身体を貫通した右びようをたまたま同巡査の約三〇メートル右前方の道路反対側の歩道上を通行中のAの背部に命中させ、同人に腹部貫通銃創を負わせた、というのである。これによると、被告人が人を殺害する意思のもとに手製装薬銃を発射して殺害行為に出た結果、被告人の意図した巡査Bに右側胸部貫通銃創を負わせたが殺害するに至らなかつたのであるから、同巡査に対する殺人未遂罪が成立し、同時に、被告人の予期しなかつた通行人Aに対し腹部貫通銃創の結果が発生し、かつ、右殺害行為とAの傷害の結果との間に因果関係が認められるから、同人に対する殺人未遂罪もまた成立し(大審院昭和八年(れ)第八三一号同年八月三〇日判決・刑集一二巻一六号一四四五頁参照)、しかも、被告人の右殺人未遂の所為は同巡査に対する強盗の手段として行われたものであるから、強盗との結合犯として、被告人のBに対する所為についてはもちろんのこと、Aに対する所為についても強盗殺人未遂罪が成立するというべきである。したがつて、原判決が右各所為につき刑法二四〇条後段、二四三条を適用した点に誤りはない。」


と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。

しほうちゃれんじ 2540

乙:Brace for their expectations
Too much to say in

Two minutes of rotation

 

出典:https://genius.com/Aziya-wundagirl-lyrics

 

感想:アルクによると、brace forは、~に備える、という意味です。

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第1問2です。

 

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
2.暴力団組員甲は、配下の組員乙に対し、抗争状態にある暴力団組員Aとの間でもめごとが起きた場合にはAを殺害してよいが、実際にAを殺害するかは乙の判断に任せる旨伝えて拳銃を渡し、乙も了承したところ、乙は、Aともめたことから、殺意をもってAを射殺した。甲が乙とAの間でもめごとが起きることがあり得ると認識していた場合、甲には、殺人罪の故意が認められる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:最判昭和59年3月6日は

 

「 所論は、判例違反をいうが、所論引用の判例(最高裁昭和五六年(あ)第一〇〇四号同年一二月二一日第一小法廷決定・刑集三五巻九号九一一頁)は、殺害行為に関与しないいわゆる共謀共同正犯者としての殺意の成否につき、謀議の内容においては被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせていたとしても、殺害計画を遂行しようとする意思が確定的であつたときは、殺人の故意の成立に欠けるところはない旨判示しているにとどまり、犯意自体が未必的なものであるときに故意の成立を否定する趣旨のものではない。換言すれば、右判示は、共謀共同正犯者につき、謀議の内容においては被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせており、犯意自体が未必的なものであつたとしても、実行行為の意思が確定的であつたときは、殺人の故意の成立に欠けるところはないものとする趣旨と解すべきである。しかるところ、原判決には、所論の指摘するとおり、被告人は、本件殺人の共謀時においても、将来、被害者といま一度話し合う余地があるとの意思を有しており、被害者の殺害計画を遂行しようとする意思が確定的ではなかつたものとみているかに解される部分もないではないが、原判決を仔細に検討すれば、それは共謀の当初の時期における被告人の意思を記述したにとどまることが明らかである。すなわち原判決は、被告人は、A、B及びCとの間で、被害者から貸金問題について明確な回答が得られないときは、結着をつけるために、暴力的手段に訴えてでも同人を強制的に連行しようと企て、当初は、被害者と貸金問題についていま一度話し合つてみる余地もあると考えていたものの、一方では、このような緩慢な態度に終始していると舎弟頭として最後の責任をとる羽目にもなりかねないとも考え、また、本件犯行現場に向かう自動車内等でのAらの言動から、同人らが被害者の抵抗いかんによつてはこれを殺害することも辞さないとの覚悟でいるのを察知しており、Aらとともに本件犯行現場に到着した際には、同人らに対し、被害者の応対が悪いときは、その後の事態の進展を同人らの行動に委ねる旨の意思を表明していること、その後犯行現場においてA及びBが刺身包丁で被害者の左前胸部等を突き刺したうえ転倒した同人を自動車後部座席に押し込む際、「早よ足を入れんかい」などと指示し、さらに右自動車内において、Bが刺身包丁で被害者の大腿部を突き刺したのに対してもなんら制止することなく容認していたこと等の事実を認定したうえで、これらの事情を総合して、被告人は、未必の故意のもとに、実行行為者であるAらと共謀のうえ被害者を殺害した旨判示しているのである。右判示を全体としてみれば、原判決は、指揮者の地位にあつた被告人が、犯行現場において事態の進展をAらの行動に委ねた時点までには、謀議の内容においてはAらによる殺害が被害者の抵抗という事態の発生にかかつていたにせよ、Aらによつて実行行為を遂行させようという被告人の意思そのものは確定していたとして、被告人につき殺人の未必の故意を肯定したものであると理解することができる。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。

しほうちゃれんじ 2539

乙:今日の問題は、令和4年予備試験行政法第23問イです。

 

国家賠償に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例に照らし(中略)
イ.警察官が専ら自己の利を図る目的で職務執行を装って私人Aに職務質問をし、犯罪の証拠物名義で預かった所持品を不法に領得するため拳銃でAを射殺した事案につき、警察官の上記行為は客観的に職務執行の外形を備えているから、国家賠償法第1条第1項にいう公務員が「その職務を行うについて」違法に他人に損害を加えたときに該当する。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:It's a quarter life crisis

 

出典:https://genius.com/Baby-queen-quarter-life-crisis-lyrics

 

感想:アルクによると、quarter-life crisis
は、◆人生(約100年)の4分の1を生きた25~35歳くらいの人が人生について思い悩む時期◆という意味です。

 

乙:最判昭和31年11月30日は

 

「 原判決は、その理由において、国家賠償法第一条の職務執行とは、その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもつて、この場合の職務執行なりとするのほかないのであるとし、即ち、同条の適用を見るがためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもつてした職務執行につき、違法に他人に損害を加えた場合に限るとの解釈を排斥し、本件において、D巡査がもつぱら自己の利をはかる目的で警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で、同人を射殺して、その目的をとげた、判示のごとき職権濫用の所為をもつて、同条にいわゆる職務執行について違法に他人に損害を加えたときに該当するものと解したのであるが同条に関する右の解釈は正当であるといわなければならない。けだし、同条は公務員が主観的に権限行使の意思をもつてする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもつてする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによつて、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもつて、その立法の趣旨とするものと解すべきであるからである。(所論は憲法一七条を云為するけれども、原判決は、同条の解釈を示したものでないから、所論は、結局、国家賠償法一条に関する原判決の解釈を争うに帰するものと解すべきである。)」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。