刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1235

乙:I can't stick to the path, 'cause I dream about nothing but you

 

出典:Bombay Bicycle Club – Eat, Sleep, Wake (Nothing But You) Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:nothing butを会話で使うのは難しそう。

 

 

今日の問題は、予備試験平成28年商法第26問ウとエです。

 

ウ.判例の趣旨によれば,任期の満了により取締役を退任したが,会社法又は定款で定めた取締役の員数を欠くため,なお取締役としての権利義務を有する者については,訴えをもってその解任を請求することができない。
エ.最終完全親会社等の株主が特定責任追及の訴え(いわゆる多重代表訴訟)を提起するためには,当該株主は,当該最終完全親会社等に対し,書面で特定責任追及の訴えの提起を請求しなければならない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:ウについて、会社法346条1項は

 

「役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。」

 

同法854条は

 

 「役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。

一 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主」

 

と、規定しています。

 

最判平成20年2月26日は

 

「会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有
する者(以下「役員権利義務者」という。)の職務の執行に関し不正の行為又は法
令若しくは定款に違反する重大な事実(以下「不正行為等」という。)があった場
合において,同法854条を適用又は類推適用して株主が訴えをもって当該役員権
利義務者の解任請求をすることは,許されないと解するのが相当である。その理由
は次のとおりである。
(1) 同条は,解任請求の対象につき,単に役員と規定しており,役員権利義務
者を含む旨を規定していない。
(2) 同法346条2項は,裁判所は必要があると認めるときは利害関係人の申
立てにより一時役員の職務を行うべき者(以下「仮役員」という。)を選任するこ
とができると定めているところ,役員権利義務者に不正行為等があり,役員を新た
に選任することができない場合には,株主は,必要があると認めるときに該当する
ものとして,仮役員の選任を申し立てることができると解される。そして,同条1
項は,役員権利義務者は新たに選任された役員が就任するまで役員としての権利義
務を有すると定めているところ,新たに選任された役員には仮役員を含むものとし
ているから,役員権利義務者について解任請求の制度が設けられていなくても,株
主は,仮役員の選任を申し立てることにより,役員権利義務者の地位を失わせることができる。
(3) 以上によれば,株主が訴えをもって役員権利義務者の解任請求をすることは,法の予定しないところというべきである。」

 

と、判示しています。

 

 

エについて、会社法847条の3第1項本文は

 

 「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式会社の最終完全親会社等(当該株式会社の完全親会社等であって、その完全親会社等がないものをいう。以下この節において同じ。)の総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は当該最終完全親会社等の発行済株式(自己株式を除く。)の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、当該株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、特定責任に係る責任追及等の訴え(以下この節において「特定責任追及の訴え」という。)の提起を請求することができる。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、ウが正しく、エが誤りです。