乙:今日の問題は
同一の動産について複数の質権を設定することはできないが,同一の動産について複数の譲渡担保権を設定することはできる。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:夏が終わっちゃう。
乙:民法344条は
「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」
同法184条は
「代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。」
と、規定しています。
大判昭和9年6月2日は
「本件質権ノ設定ノ適否ニ付案スルニ民法中既ニ他人ニ賃貸シタル物ハ質権ノ目的トナリ得サルノ趣旨ヲ窺フニ足ル規定存セサルノミナラス質権設定ニ付テノ占有ノ移転ノ如キハ民法第百八十四条ノ定ムル処ニ従ヒ之ヲ為シ得ヘク質権者ハ適法ニ占有ヲ得テ質権ヲ取得シ得ル」
と、判示しています。
同一の動産について複数の質権を設定することはできるので、上記記述は、誤りです。