乙:今日の問題は
動産を目的とする質権は占有改定の方法によるその動産の引渡しによっては効力を生じないが,動産を目的とする譲渡担保権はその設定契約によって設定され,占有改定の方法によるその動産の引渡しがあれば,譲渡担保権者は第三者に譲渡担保権を対抗することができる。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:
乙:民法344条は
「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」
同法345条は
「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。」
同法183条は
「代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。」
と、規定しています。
前段は、正しいです。
最判昭和30年6月2日は
「売渡担保契約がなされ債務者が引き続き担保物件を占有している場合には、債務者は占有の改定により爾後債権者のために占有するものであり、従つて債権者はこれによつて占有権を取得するものであると解すべきことは、従来大審院の判例とするところであることも所論のとおりであつて、当裁判所もこの見解を正当であると考える。果して然らば、原判決の認定したところによれば、上告人(被控訴人)は昭和二六年三月一八日の売渡担保契約により本件物件につき所有権と共に間接占有権を取得しその引渡を受けたことによりその所有権の取得を以て第三者である被上告人に対抗することができるようになつたものといわなければならない。」
と、判示しています。
後段も、正しいです。
したがって、上記記述は、正しいです。