乙:今日の問題は、令和3年司法試験憲法第18問イです。
憲法第89条後段の「公の支配」の意義に関し,「国又は地方公共団体が,法令等により一定の監督をしていることで足りる」とする見解があるが,次のアからウまでの各記述について,かかる
見解の根拠となる記述には○を,根拠とはならない記述には×を付した場合の組合せ(中略)
イ.憲法第89条後段の趣旨は,財政民主主義の見地から,慈善,教育,博愛の事業に対する公金の支出が公の財産の濫費,濫用にならないように,国や地方公共団体が監督することにある。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:Shake off any shame we’ve been given
出典:https://youtu.be/7bZ_C2Bcjw8?feature=shared
感想:アルクによると、Shake offは、〔物を〕振り払う、などの意味です。
乙:憲法89条は
「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」
と、規定しています。
「本肢の記述は,89条後段の趣旨について,いわゆる公費濫用防止説(89条後段の趣旨は,財政民主主義の見地から,慈善,教育,博愛の事業に対する公金の支出が公の財産の濫費,濫用にならないように,国や地方公共団体が監督する点にあると解する見解)の立場に立つものである。公費濫用防止説は,目的の公共性や,慈善・教育・博愛の美名の下に,公費が濫用されやすいという理由に基づくものである。
そして,公費濫用防止説からすれば,公金の支出が公の財産の濫費・濫用にならないように,国や地方公共団体が一定の監督をすることができれば,89条後段の趣旨を全うできるため,「公の支配」の意義については,いわゆる緩和説と結びつく。」
株式会社 東京リーガルマインド『司法試験&予備試験 単年度版 短答過去問題集(法律基本科目)令和3年』260頁
したがって、上記記述は、緩和説の根拠となります。