刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 3051

乙:今日の問題は、伊藤塾2024年予備試験全国公開短答模試民法第14問エです。

 

親子関係に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし(中略)
エ.生物学上の父子関係がないことを知りながら認知をした者は、自らした認知の無効を主張することができない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:Oh, dear lady, gimme the time of day
See you a mile away
I can never own up to my mistakes
Perhaps, it’ll take me to a higher state

 

出典:https://genius.com/Little-simz-dead-body-lyrics

 

感想:アルクによると、own up to one's mistakeは、自分の間違いを認める、などの意味です。

 

乙:民法786条は

 

「次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時(第七百八十三条第一項の規定による認知がされた場合にあっては、子の出生の時)から七年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、第三号に掲げる者について、その認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。

一 子又はその法定代理人 子又はその法定代理人が認知を知った時

二 認知をした者 認知の時

三 子の母 子の母が認知を知った時

2 子は、その子を認知した者と認知後に継続して同居した期間(当該期間が二以上あるときは、そのうち最も長い期間)が三年を下回るときは、前項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、二十一歳に達するまでの間、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、子による認知の無効の主張が認知をした者による養育の状況に照らして認知をした者の利益を著しく害するときは、この限りでない。

3 前項の規定は、同項に規定する子の法定代理人が第一項の認知の無効の訴えを提起する場合には、適用しない。

4 第一項及び第二項の規定により認知が無効とされた場合であっても、子は、認知をした者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。」

 

と、規定しています。


最判平成26年1月14日は

 

「 5 血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知は無効というべきであるところ,認知者が認知をするに至る事情は様々であり,自らの意思で認知したことを重視して認知者自身による無効の主張を一切許さないと解することは相当でない。また,血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知については,利害関係人による無効の主張が認められる以上(民法786条),認知を受けた子の保護の観点からみても,あえて認知者自身による無効の主張を一律に制限すべき理由に乏しく,具体的な事案に応じてその必要がある場合には,権利濫用の法理などによりこの主張を制限することも可能である。そして,認知者が,当該認知の効力について強い利害関係を有することは明らかであるし,認知者による血縁上の父子関係がないことを理由とする認知の無効の主張が民法785条によって制限されると解することもできない。

 そうすると,認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができるというべきである。この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異なるところはない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。