刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 224

乙:甲先生と、ボーダーブレイクのプラモを組み立てたいです!

今日の問題は

不法行為の被害者が不法行為の時から20年を経過する前6か月内において,当該不法行為を原因とする精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合には,その後,後見開始の審判を受け,成年後見人が選任された時から,民法第724条後段の期間が新たに進行する。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:ダイバーシティって感じ?

乙:民法724条は

「不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」

と、規定しています。

最判平成10年6月12日は

「民法七二四条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり、不法行為による損害賠償を求める訴えが除斥期間の経過後に提起された場合には、裁判所は、当事者からの主張がなくても、除斥期間の経過により右請求権が消滅したものと判断すべきであるから、除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用であるという主張は、主張自体失当であると解すべきである(最高裁昭和五九年(オ)第一四七七号平成元年一二月二一日第一小法廷判決・民集四三巻一二号二二〇九頁参照)。
2 ところで、民法一五八条は、時効の期間満了前六箇月内において未成年者又は禁治産者が法定代理人を有しなかったときは、その者が能力者となり又は法定代理人が就職した時から六箇月内は時効は完成しない旨を規定しているところ、その趣旨は、無能力者は法定代理人を有しない場合には時効中断の措置を執ることができないのであるから、無能力者が法定代理人を有しないにもかかわらず時効の完成を認めるのは無能力者に酷であるとして、これを保護するところにあると解される。
これに対し、民法七二四条後段の規定の趣旨は、前記のとおりであるから、右規定を字義どおりに解すれば、不法行為の被害者が不法行為の時から二〇年を経過する前六箇月内において心神喪失の常況にあるのに後見人を有しない場合には、右二〇年が経過する前に右不法行為による損害賠償請求権を行使することができないまま、右請求権が消滅することとなる。しかし、これによれば、その心神喪失の常況が当該不法行為に起因する場合であっても、被害者は、およそ権利行使が不可能であるのに、単に二〇年が経過したということのみをもって一切の権利行使が許されないこととなる反面、心神喪失の原因を与えた加害者は、二〇年の経過によって損害賠償義務を免れる結果となり、著しく正義・公平の理念に反するものといわざるを得ない。そうすると、少なくとも右のような場合にあっては、当該被害者を保護する必要があることは、前記時効の場合と同様であり、その限度で民法七二四条後段の効果を制限することは条理にもかなうというべきである。
したがって、不法行為の被害者が不法行為の時から二〇年を経過する前六箇月内において右不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において、その後当該被害者が禁治産宣告を受け、後見人に就職した者がその時から六箇月内に右損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、民法一五八条の法意に照らし、同法七二四条後段の効果は生じないものと解するのが相当である。
3 これを本件についてみると、原審の確定した事実は、上告人A1は、本件接種の七日後にけいれん等を発症し、その後、高度の精神障害、知能障害等を有する状態にあり、かつ、右の各症状はいずれも本件接種を原因とするものであったというのであるから、不法行為の時から二〇年を経過する前六箇月内においても、本件接種を原因とする心神喪失の常況にあったというべきである。そして、本件訴訟が提起された後、上告人A1が昭和五九年一〇月一九日に禁治産宣告を受け、その後見人に就職した上告人A2が、中平弁護士らに本件の訴訟委任をし、同年一一月一日にその旨の訴訟委任状を原審に提出することによって、上告人A1の本件損害賠償請求権を行使したのであるから、本件においては前記特段の事情があるものというべきであり、民法七二四条後段の規定にかかわらず、右損害賠償請求権が消滅したということはできない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、誤りです。