刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 242

乙:いよいよ、BOX後半戦、わくわくしますね。

今日の問題は

衆議院議員選挙における1人別枠方式については,人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させるという目的は合理的であるが,その結果生じる投票価値の較差が過大であるから違憲である。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:なんかしたっけ。

乙:最大判平成23年3月23日は

「本件選挙制度の下における小選挙区の区割りの基準については,区画審設 置法3条が定めているが(以下,この基準を「本件区割基準」といい,この規定を 「本件区割基準規定」という。),同条1項は,選挙区の改定案の作成につき,選 挙区間の人口の最大較差が2倍未満になるように区割りをすることを基本とすべきものとしており,これは,投票価値の平等に配慮した合理的な基準を定めたものということができる。
他方,同条2項においては,前記のとおり1人別枠方式が採用されており,この方式については,前記2(3)のとおり,相対的に人口の少ない県に定数を多めに配分し,人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させることができるようにすることを目的とする旨の説明がされている。しかし,この選挙制度によって選出される議員は,いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず,全国民を代表して国政に関与することが要請されているのであり,相対的に人口の少ない地域に対する配慮はそのような活動の中で全国的な視野から法律の制定等に当たって考慮されるべき事柄であって,地域性に係る問題のために,殊更にある地域 (都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い。しかも,本件選挙時には,1人別枠方式の下でされた各都道府県への定数配分の段階で,既に各都道府県間の投票価値にほぼ2倍の最大較差が生ずるなど,1人別枠方式が前記2(5)に述べたような選挙区間の投票価値の較差を生じさせる主要な要因となっていたことは明らかである。1人別枠方式の意義については,人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮という立法時の説明にも一部うかがわれるところであるが,既に述べたような我が国の選挙制度の歴史,とりわけ人口の変動に伴う定数の削減が著しく困難であったという経緯に照らすと,新しい選挙制度を導入するに当たり,直ちに人口比例のみに基づいて各都道府県への定数の配分を行った場合には,人口の少ない県における定数が急激かつ大幅に削減されることになるため,国政における安定性, 連続性の確保を図る必要があると考えられたこと,何よりもこの点への配慮なくしては選挙制度の改革の実現自体が困難であったと認められる状況の下で採られた方策であるということにあるものと解される。
そうであるとすれば,1人別枠方式は,おのずからその合理性に時間的な限界があるものというべきであり,新しい選挙制度が定着し,安定した運用がされるようになった段階においては,その合理性は失われるものというほかはない。」

「平成19年6月13日大法廷判決において,平成17年の総選挙の時点における1人別枠方式を含む本件区割基準及び本件選挙区割りについて,前記のようにいずれも憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていない旨の判断が示されていたことなどを考慮すると,本件選挙までの間に本件区割基準中の1人別枠方式の廃止及びこれを前提とする本件区割規定の是正がされなかったことをもって,憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかったものということはできない。
(4) 以上のとおりであって,本件選挙時において,本件区割基準規定の定める本件区割基準のうち1人別枠方式に係る部分は,憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っており,同基準に従って改定された本件区割規定の定める本件選挙区割りも,憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていたものではあるが,いずれも憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,本件区基準規定及び本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、誤りです。