刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 538

乙:今日の問題は、2問あります。

イ. 国民主権の意義を,国家が支配権力を行使する権威のより所(国家権力の正統性)が国民に由来することと解する立場からすると,国民主権の原理は,国家権力の行使が全国民の名の下で行われるべきことを意味するにとどまり,実際に国家の意思決定に国民の意思が的確に反映されるような仕組みを作ることまでは要請されない。
エ. 日本国憲法の国民主権原理が明治憲法の天皇主権の否定として表明されたものだという趣旨からすると,日本国憲法下において,少なくとも天皇は国民ではないことは明らかである。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:もーついってかんじ?

乙:イについて

「主権が全国民に存すると考えると、このような国民の総体は、現実に国家機関として活動することは不可能であるから、全国民主体説に言う国民主権は、天皇を除く国民全体が国家権力の源泉であり、国家権力の正当性を基礎づける究極の根拠だということ、を意味することになる。したがって、国民に主権が存するとは、国家権力が「現実に国民の意思から発するという事実をいっているのではなく、国民から発すべきものだ」という建前を言っているにすぎないことになる。この結果、国民主権は、代表制とは不可分に結びつくが、(中略)権力的契機(国民の憲法改正国民投票)とは、少なくとも理論上は、直接の関係はないことになる。」

芦部信喜『憲法学Ⅰ 憲法総論』241頁


エについて

「天皇・皇族も、日本の国籍を有する日本国民であり、人間であることに基づいて認められる権利は保障される。」

芦部信喜『憲法』第四版 86頁

したがって、上記記述は、イが正しく、エが誤りです。