刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2082

乙:The day is gone

出典:https://genius.com/Marmozets-habits-lyrics

感想:アルクによると、Till St. James's Day be come and gone, you may have hops or you may have none.ということわざがあるそうです。


今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第53問エとオです。

XとYとの間の売買代金の支払のため,Yを振出人とし,Xを受取人とする約束手形が振り出さ
れ,満期後,XがYに対する約束手形金請求の手形訴訟を提起した。その訴状の請求原因の項には,第1項「被告Yは,別紙手形目録記載の約束手形1通を振り出した。」第2項「原告Xは,前項の手形を所持している。」との記載があり,第1回口頭弁論期日において,Xは,これを陳述した。 この場合におけるX及びYの主張に関する(中略)
エ. Yは,この手形訴訟において,Xの債務不履行に基づく売買契約の解除の抗弁を主張するこ
とができない。
オ. 別紙手形目録の記載上,振出日欄が空欄であるときは,Xの手形金請求は認容されない。

甲先生、よろしくお願いします!


甲:エについて、最判昭和39年1月23日は

「原判決の引用する第一審判決は、被告(控訴人、上告人)大栄物産株式会社が被告(前同)桐山良一に対し昭和三一年一〇月二二日第一審判決別紙第二目録記載の物件(本件物件)を、同月二四日同第一目録記載の建物(本件建物)を売渡し、右桐山が被告大栄物産株式会社に対して負担する本件物件および本件建物の買受代金債務約一三〇万円を現実に支払うことなく、当時右両被告間において被告大栄物産株式会社が被告桐山に対して負担する約一八〇万円の借入金債務と対等額において相殺する旨の合意がなされたこと、その他判示の諸事情を認定した上、たとえ右各売買が既存債務弁済を目的としてなされたとしても、それは反証のない限り原告(被控訴人、被上告人)の本件手形債権を害するものと認むべきである旨判示しており、右判示は正当と認められる。」

と、判示しています。


オについて、手形法75条6号は

「約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
六 手形ヲ振出ス日及地ノ表示」

同法76条1項は

「前条ニ掲グル事項ノ何レカヲ欠ク証券ハ約束手形タル効力ヲ有セズ但シ次ノ数項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ」

と、規定しています。

最判昭和41年10月13日は

「確定日払の約束手形においては、振出日の記載は手形上の権利の内容の確定のために必要でないから、その記載のない手形もこれを無効と解すべきでない旨主張するが、手形法七五条、七六条は、約束手形において振出日の記載を必要とするものとし、手形要件の記載を欠くものを約束手形としての効力を有しないものと定めるにあたり、確定日払の手形であるかどうかによつて異なる取扱いをしていないのであつて、画一的取扱いにより取引の安全を保持すべき手形の制度としては、特段の理由のないかぎり法の明文がないのに例外的取扱いを許すような解釈をすべきではない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、エが誤りで、オが正しいです。