乙:今日の問題は、令和4年予備試験刑事訴訟法第18問イです。
ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(中略)
イ.被告人が自らの氏名を一貫して明らかにせず、刑事施設の居室番号の自署、拇印等により自己を表示し、弁護人が署名押印した弁護人選任届を提出した場合にも、被告人には自らの氏名を開示する義務はないので、その選任届が不適法として却下されることはない。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:Theres been a fall out with me And my lazy brain
出典:https://youtu.be/qCEbPaiFUyw
感想:アルクによると、fall out withは、(人)とけんかする、などの意味です。
乙:憲法38条1項は
「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」
と、規定しています。
最大判昭和32年2月20日は
「 次にいわゆる黙秘権を規定した憲法三八条一項の法文では、単に「何人も自己に不利益な供述を強要されない。」とあるに過ぎないけれど、その法意は、何人も自己が刑事上の責任を問われる虞ある事項について供述を強要されないことを保障したものと解すべきであることは、この制度発達の沿革に徴して明らかである。されば、氏名のごときは、原則としてここにいわゆる不利益な事項に該当するものではない。そして、本件では、論旨主張にかかる事実関係によつてもただその氏名を黙秘してなされた弁護人選任届が却下せられたためその選任の必要上その氏名を開示するに至つたというに止まり、その開示が強要されたものであることを認むべき証跡は記録上存在しない。(昭和二三年(れ)一〇一〇号同二四年二月九日大法廷判決、判例集三巻二号一四六頁以下参照)。」
と、判示しています。
したがって、上記記述は、誤りです。