刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 612

乙:今日の問題も、プレからで、2問あります。

ウ.AがBの財産を無権限でCに売却した場合,Bが後にCに対してAの処分を追認しても,AはBに対する不当利得返還責任を免れない。
エ.混和によって混和物全体の所有権を得た者は,所有権を失った原所有者に対して,不当利得返還責任を負わない。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:ばいしゃり。。

http://crea.bunshun.jp/articles/-/15134



乙:民法703条は

「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」

と、規定しています。

ウについて、最判昭和37年8月10日は

「或る物件につき、なんら権利を有しない者が、これを自己の権利に属するものとして処分した場合において真実の権利者が後日これを追認したときは、無権代理行為の追認に関する民法一一六条の類推適用により、処分の時に遡つて効力を生ずるものと解するのを相当とする(大審院昭和一〇年(オ)第六三七号同年九月一〇日云渡判決、民集一四巻一七一七頁参照)。」

と、判示しています。


「他人Aの動産の借主または保管者Bが、その動産を自分の物として第三者Cに売却して対価を取得した場合には、第三者Cは即時取得の規定(一九二条)によって所有権を取得し、本来の所有者(貸主・寄託者)Aは所有権を失う。従って、売却者Bは対価を不当に利得する(大判明治三八・一一・三〇民一七三〇頁〔一四四八〕))。A所有の不動産の管理をBに委託して便宜上所有名義をBに移転しておいたのを、名義人Bが自分の所有不動産としてCに売却し、善意の第三者Cの所有となった場合も同様である(大判大正四・三・一三民三七一頁)。かような場合に無権利者の処分の相手方Cが権利を取得するのは、権利の外形に対する信頼を保護しようとする制度の効果であるが、これらの制度は、外形を信頼した者に権利取得の実質的利得を保有せしめようとするものであるから、その取得は法律上の原因を有することとなり、処分によって対価を取得した者が不当利得をすることになる。
無権利者の処分が権利者の追認によって有効となる場合(大判昭和一〇・九・一〇民一七一七頁、最高判昭和三七・八・一〇民一七〇〇頁(総則〔三九一〕参照))も同様に解してよい。すなわち、権利者は処分行為を追認して、処分者の得た利得の返還を請求することができる。 」

我妻栄『債権各論 下巻一(民法講義Ⅴ4)』1010-1011頁


エについて、民法248条は

「第二百四十二条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第七百三条及び第七百四条の規定に従い、その償金を請求することができる。」

同法245条は

「前二条の規定は、所有者を異にする物が混和して識別することができなくなった場合について準用する。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、ウが正しく、エが誤りです。