刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 640

乙:甲先生と、「TOKYO HONEY Terrace」に行きたいです。

今日の問題は、予備試験からです、

甲が,Vを突き倒し,その胸部を踏み付ける暴行を加え,Vに血胸の傷害を負わせたところ,Vは,Vの胸腔内に貯留した血液を消滅させるため医師が投与した薬剤の影響により,かねてVが罹患していた結核性の病巣が変化して炎症を起こし,同炎症に基づく心機能不全により死亡した。この場合,甲の暴行とVの死亡との間には,因果関係がない。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:こけし。。

乙:最判昭和46年6月17日は

「被害者Aの死因は、被告人の同判決判示の暴行によつて誘発された急性心臓死であるというのであり、右の認定は、同判決挙示の関係証拠および原番鑑定人D作成の鑑定書、原番証人Dの供述等に徴し、正当と認められるところ、致死の原因たる暴行は、必らずしもそれが死亡の唯一の原因または直接の原因であることを要するものではなく、たまたま被害者の身体に高度の病変があつたため、これとあいまつて死亡の結果を生じた場合であつても、右暴行による致死の罪の成立を妨げないと解すべきことは所論引用の当裁判所判例(昭和二二年(れ)第二二号同年一一月一四日第三小法廷判決、刑集一巻六頁。昭和二四年(れ)第二八三一号同二五年三月三一日第二小法廷判決、刑集四巻三号四六九頁。昭和三一年(あ)第二七七八号同三二年三月一四日第一小法廷決定、刑集一一巻三号一〇七五頁。昭和三五年(あ)第二〇四二号同三六年一一月二一日第三小法廷決定、刑集一五巻一〇号一七三一頁。)の示すところであるから、たとい、原判示のように、被告人の本件暴行が、被害者の重篤な心臓疾患という特殊の事情さえなかつたならば致死の結果を生じなかつたであろうと認められ、しかも、被告人が行為当時その特殊事情のあることを知らず、また、致死の結果を予見することもできなかつたものとしても、その暴行がその特殊事情とあいまつて致死の結果を生ぜしめたものと認められる以上、その暴行と致死の結果との間に因果関係を認める余地がある」

と、判示しています。


最決昭和49年7月5日は「被告人は、川中が当時八一歳の高令であることを知悉しながら、原判示第一の川中に対する傷害行為の二〇日後に引き続き再び川中に対し暴行を加えた結果、同人は左胸部に血胸を生じたが、医師としてはこれを放置すると同人の身体に重大な影響を与えるので、相当の注意を払つてステロイド剤を投与したこと、しかし被害者には生体のままでは確知することができなかつた結核性の病巣があつたためステロイド剤の作用によつて右病巣が悪化し、ひいて循環障害を起こし、遂に心機能不全となつて死亡したことが明らかである」という事案で、

「原判示の事実関係によれば、被告人の暴行とAの死亡との間に因果関係を認めた原判決の判断は正当である。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、誤りです。