刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1187

乙:Knowing that you lied straight faced while I cried
Still I look to find a reason to believe

 

出典:Tim Hardin – Reason to Believe Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:分詞構文でしょうか。

 

今日の問題は、司法試験平成28年刑法第13問アとウです。

 

 次のアからオまでの各記述における甲の罪責について,判例の立場に従って検討し,( )内の犯罪が既遂になる場合には1を,未遂にとどまる場合には2を,既遂にも未遂にもならない場合には3を選びなさい。(中略)
ア.甲は,所持金がなかったことから代金を支払わずに食事をしようと考え,飲食店に行って料理を注文し,これを食べた後,代金を請求した店員に対し,財布を忘れたので自宅に取りに帰ると嘘を言ったが,店員にその嘘を見破られた。(詐欺罪)[№22]
ウ.甲は,Aと同居している自宅を燃やそうと考え,自宅の和室に新聞紙が入った段ボール箱を置き,同新聞紙にライターで点火したが,その直後に帰宅したAが燃えている同段ボール箱を発見して消火したため,同段ボール箱の直下の畳だけが焼損した。(現住建造物等放火罪)
[№24]

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:アについて、刑法246条は

 

「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」

 

と、規定しています。

 

最決昭和30年7月7日は

 

「刑法二四六条二項にいわゆる「財産上不法の利益を得」とは、同法二三六条二項のそれとはその趣を異にし、すべて相手方の意思によつて財産上不法の利益を得る場合をいうものである。従つて、詐欺罪で得た財産上不法の利益が、債務の支払を免れたことであるとするには、相手方たる債権者を欺罔して債務免除の意思表示をなさしめることを要するものであつて、単に逃走して事実上支払をしなかつただけで足りるものではないと解すべきである。されば、原判決が「原(第一審)判示のような飲食、宿泊をなした後、自動車で帰宅する知人を見送ると申欺いて被害者方の店先に立出でたまま逃走したこと」をもつて代金支払を免れた詐欺罪の既遂と解したことは失当であるといわなければならない。しかし、第一審判決の確定した本件詐欺事実は「被告人は、所持金なく且代金支払の意思がないにもかかわらず然らざるものの如く装つて東京都文京区a町bノc料亭A事B方に於て昭和二七年九月二〇日から同月二二日迄の間宿泊一回飲食三回をなし同月二二日逃亡してその代金合計三万二千二百九十円の支払を免れたものである」というのであるから、逃亡前すでにBを欺固して、代金三二二九〇円に相当する宿泊、飲食等をしたときに刑法二四六条の詐欺罪が既遂に達したと判示したものと認めることができる。されば逃走して支払を免れた旨の判示は、本件犯罪の成立については結局無用の判示というべく、控訴を棄却した原判決は結局正当である。従つて、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。」

 

と、判示しています。

 

 

ウについて、刑法108条は

 

「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」

 

同法112条は

 

「第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和25年12月14日は

 

「 原判決は、「右犯跡を隠す為、前記二児の寝ていた布団の中に焚付薪を差し入れ、これに燐寸の軸木を添え、それに点火すれば順次燃え拡がる仕掛をしてその一端に点火して、現に右Aの住居に使用する家屋に放火し、よつて右布団三枚とその下に
敷いてあつた畳約三十糎平方、深さ約一、五糎を焼燬したものである」と明瞭に認
定判示している。そして、建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成す
るものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更ら
にこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とするもの
である。従つて、判示布団は勿論判示畳のごときは未だ家屋と一体となつてこれを
構成する建造物の一部といえないこと多言を要しないから、原判決の前示判示は、
建造物の放火既遂の犯罪事実を認定判示したものではなく、その放火未遂の認定判
示であるといわなければならない。そして、右放火未遂の事実認定は、原判決挙示
の証拠によつて、肯認することができるから、原判決には所論のような事実上又は
証拠上の理由不備の違法は存しない。しかし、原判決は、右建造物の放火未遂の事
実に対し刑法一〇八条のみを適用して同一一二条を適用していないから、この点に
おいて法律上の理由不備の違法があるものというべく、本論旨は結局その理由があ
つて原判決は破棄を免れない。」

 

 と、判示しています

 

 

 

したがって、上記記述は、アが既遂になり、ウが未遂にとどまります。

しほうちゃれんじ 1186

乙:Your friends all plead for you to stay

 

出典:Linkin Park – Shadow of the Day Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:pleadがわからなかったが、pleaseと同じ語源。

 

今日の問題は、新司法試験平成22年刑事系第18問ウです。

 

甲が,乙から財物をだまし取って財物の占有を確保した後に,だまされたことに気付いた乙から上記財物の返還を要求され,その返還を免れるため,乙に対し,暴行を加えて財物の取戻し行為を抑圧した場合,強盗既遂罪(刑法第236条第1項)が成立する。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:刑法236条は

 

「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和61年11月18日は

 

「 被告人が属していた暴力団A一家と、被害者Bが属していた暴力団C会とは、か
ねて対立抗争中であつた。A一家D組組長Eは、知人である一、二審相被告人Fと
話し合つた結果、FがかねてBを知つており、覚せい剤取引を口実に同人をおびき
出せることがわかつたので、C会C組幹部であるBを殺害すればC会の力が弱まる
し、覚せい剤を取ればその資金源もなくなると考え、Fにその旨を伝えた。Fは、
Bに対し、覚せい剤の買手がいるように装つて覚せい剤の取引を申し込み、Bから
覚せい剤一・四キログラムを売る旨の返事を得たうえ、Gも仲間に入れ、昭和五八
年一一月一〇日、D、その舎弟分のA一家H組組長I及びHの配下の被告人とa駅
付近で合流した。被告人、F、D、H、Gの五名が一緒にいた際に、Fは、被告人
に対し「C会の幹部をホテルに呼び出す。二部屋とつて一つにC会の幹部を入れ、もう一つの部屋にはお前が隠れておれ。俺が相手の部屋に行きしばらく話をしたの
ち、お前に合図するから、俺と一緒についてこい。俺がドアを開けるからお前が部
屋に入つてチヤカ(拳銃)をはじけ。俺はそのとき相手から物(覚せい剤)を取つ
て逃げる」と言つて犯行手順を説明し、被告人もこれに同調した。なお、この際、
奪つた覚せい剤は全部Fの方で自由にするということに話がまとまつた。ところが、
その後、Fは右犯行手順の一部を変更し、被告人に対し「俺が相手の部屋で物を取
りその部屋を出たあとお前の部屋に行つて合図するから、そのあとお前は入れ替わ
りに相手の部屋に入つて相手をやれ」と指示し、翌一一日午前に至り、福岡市a区
bc丁目d番e号所在のMホテル三〇三号室にBを案内し、同人の持参した覚せい
剤を見てその値段を尋ねたりしたあと、先方(買主)と話をしてくると言つて三〇
九号室に行き、そこで待機している被告人及びGと会つて再び三〇三号室に戻り、
Bに対し「先方は品物を受け取るまでは金はやれんと言うとる」と告げると、Bは
「こつちも金を見らんでは渡されん」と答えてしばらくやりとりが続いたあと、B
が譲歩して「なら、これあんたに預けるわ」と言いながらFに覚せい剤約一・四キ
ログラム(以下、「本件覚せい剤」という。)を渡したので、Fはこれを受け取つ
てその場に居合わせたGに渡し、Bに「一寸待つてて」と言い、Gと共に三〇三号
室を出て三〇九号室に行き、被告人に対し「行つてくれ」と述べて三〇三号室に行
くように指示し、Gと共に逃走した。被告人はFと入れ替わりに三〇三号室に入り、
同日午前二時ころ、至近距離からBめがけて拳銃で弾丸五発を発射したが、同人が
防弾チヨツキを着ていたので、重傷を負わせたにとどまり、殺害の目的は遂げなか
つた。
 以上の事実は、記録に徴し概ねこれを是認することができる。但し、一、二審判
決が、被告人がFと入れ替わりに三〇三号室に入つたと判示している点については、
記録によると、FとGは、三〇三号室でBから本件覚せい剤を受け取るや直ちに三〇九号室に赴き、そこで本件覚せい剤をかねて準備していたシヨルダーバツグに詰
め込み、靴に履き替えるなどして、階段を三階から一階まで駆け降りてMホテルを
飛び出し、すぐ近くでタクシーを拾い、N方面に向かつて逃走したが、Fは、三〇
九号室において被告人に少し時間を置いてから三〇三号室に行くように指示し、被
告人もFらが出ていつてから少し時間を置いて三〇三号室に向かつたことが認めら
れ、したがつて、被告人がBに対し拳銃発射に及んだ時点においては、FとGはす
でにMホテルを出てタクシーに乗車していた可能性も否定できないというべきであ
つて、一、二審判決の判示は、措辞やや不適切というべきである(Fが用いた口実
からして、Bは、Fが買主に本件覚せい剤の品定めをさせ、値段について話し合い、
現金を数えるなどしてから戻つて来ると誤信させられていたことになるから、文字
どおりFと入れ替わりに被告人が三〇三号室に入るのはいかにも不自然である。)。

 右事実につき、原判決は、(1) FはBの意思に基づく財産的処分行為を介し
て本件覚せい剤の占有を取得したとはいえず、これを奪取したものとみるべきであ
ること、(2) あらかじめ殺人と金品奪取の意図をもつて、殺害と奪取が同時に
行われるときはもとより、これと同視できる程度に日時場所が極めて密着してなさ
れた場合も強盗殺人罪の成立を認めるべきであること、(3) このように解する
ことは、強盗殺人(ないし強盗致死傷)罪が財産犯罪と殺傷犯罪のいわゆる結合犯
であることや、法が事後強盗の規定を設けている趣旨にも合致すること、(4) 
本件の場合、もともとBを殺害して覚せい剤を奪取する計画であつたところ、後に
計画を一部変更して覚せい剤を奪取した直後にBを殺害することにしたが、殺害と
奪取を同一機会に行うことに変わりはなく、右計画に従つて実行していること、な
どの理由を説示して、被告人(及びF)に対しいわゆる一項強盗による強盗殺人未
遂罪の成立を認め、これと結論を同じくする第一審判決を支持している。
しかしながら、まず、右(1)についてみると、前記一、二審認定事実のみを前提とする限りにおいては、FらがBの財産的処分行為によつて本件覚せい剤の占有
を取得したものとみて、被告人らによる本件覚せい剤の取得行為はそれ自体として
は詐欺罪に当たると解することもできないわけではないが(本件覚せい剤の売買契
約が成立したことになつていないことは、右財産的処分行為を肯認する妨げにはな
らない。)、他方、本件覚せい剤に対するBの占有は、Fらにこれを渡したことに
よつては未だ失われず、その後FらがBの意思に反して持ち逃げしたことによつて
失われたものとみて、本件覚せい剤の取得行為は、それだけをみれば窃盗罪に当た
ると解する余地もあり、以上のいずれかに断を下すためには、なお事実関係につき
検討を重ねる必要がある。ところで、仮に右の点について後者の見解に立つとして
も、原判決が(2)において、殺害が財物奪取の手段になつているといえるか否か
というような点に触れないで、両者の時間的場所的密着性のみを根拠に強盗殺人罪
の成立を認めるべきであるというのは、それ自体支持しがたいというほかないし、
(3)で挙げられている結合犯のことや、事後強盗のことが、(2)のような解釈
を採る根拠になるとは、到底考えられない。また、(4)で、もともとの計画が殺
害して奪取するというものであつたと指摘している点も、現に実行された右計画と
は異なる行為がどのような犯罪を構成するのかという問題の解決に影響するとは思
われない。本件においては、被告人が三〇三号室に赴き拳銃発射に及んだ時点では、
Fらは本件覚せい剤を手中にして何ら追跡を受けることなく逃走しており、すでに
タクシーに乗車して遠ざかりつつあつたかも知れないというのであるから、その占
有をすでに確保していたというべきであり、拳銃発射が本件覚せい剤の占有奪取の
手段となつているとみることは困難であり、被告人らが本件覚せい剤を強取したと
評価することはできないというべきである。したがつて、前記のような理由により
本件につき強盗殺人未遂罪の成立を認めた原判決は、法令の解釈適用を誤つたもの
といわなければならない。

- しかし、前記の本件事実関係自体から、被告人による拳銃発射行為は、Bを殺害
して同人に対する本件覚せい剤の返還ないし買主が支払うべきものとされていたそ
の代金の支払を免れるという財産上不法の利益を得るためになされたことが明らか
であるから、右行為はいわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪に当たるというべき
であり(暴力団抗争の関係も右行為の動機となつており、被告人についてはこちら
の動機の方が強いと認められるが、このことは、右結論を左右するものではない。)、先行する本件覚せい剤取得行為がそれ自体としては、窃盗罪又は詐欺罪のいずれに当たるにせよ、前記事実関係にかんがみ、本件は、その罪と(二項)強盗殺人未遂罪のいわゆる包括一罪として重い後者の刑で処断すべきものと解するのが相当である。したがつて、前記違法をもつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反するも
のとは認められない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。

しほうちゃれんじ 1185

乙:Hello, lamppost, whatcha knowing?

 

出典:Simon & Garfunkel – The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:イギリス人と思っていた。

 

 

今日の問題は、司法試験平成26年刑事系第6問2と4です。

 

2.偽造通貨,偽造有価証券又は偽造公文書を行使の目的で情を知る者に占有移転した場合には,各客体の交付罪が成立する。
4.偽造通貨又は偽造有価証券を行使して相手から金品をだまし取った場合,詐欺罪は偽造通貨行使罪には吸収されるが,詐欺罪と偽造有価証券行使罪とは牽連犯となる。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:2について、刑法148条2項は

 

「偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。」

 

同法163条1項は

 

「偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。」

 

同法158条1項は

 

「第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。」

 

と、規定しています。

 

4について、刑法152条は

 

「貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。」

 

大判明治43年6月30日は

 

「刑法第百四十八條第二項ニ於テ僞造ノ通貨ヲ行使シタル所爲ニ對スル制裁ヲ定メ同百五十條ニ於テ僞造ノ通貨ヲ收得シタル所爲ノミニ對スル制裁ヲ定メアル以上ハ僞造通貨ノ收得ト行使トハ各獨立スル二箇ノ犯罪ヲ構成スルモノト解釋スルヲ相當トス左レハ原院カ僞造ノ日本銀行劵ヲ買受ケタル後之ヲ債務ノ辨濟ニ供用シタル本件被告ノ行爲ヲ以テ僞造銀行劵ノ收得及行使ノ二罪ニ問擬シタルハ正當ニシテ諭旨ハ其理由ナシ」

 

大判大正3年10月19日は

 

「有価証券偽造行使罪ト詐欺罪トハ其侵害スル法益ヲ同ウセサルカ故ニ有価証券ヲ偽造シ其行使ヲ手段トシテ人ヲ欺罔シ財物ヲ騙取シタルトキハ其詐欺ノ点ヲ有価証券偽造行使罪中ニ包含セシメテ不問ニ付スルコトヲ許サス2者各別箇ノ罪名ニ触ルルモノトシテ刑法第54条第1項後段ノ適用ヲ受クヘキモノナリ」(提供 TKC)

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、2が誤りで、4が正しいです。

しほうちゃれんじ 1184

乙:Mama, help me, I've been cursed

 

出典:Linkin Park – Bleed It Out Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:現在完了形。

 

今日の問題は、司法試験平成29年第4問3と4です。

 

3.甲は,情を知らずに釣銭として偽造通貨を受け取ったところ,その後,それが偽造通貨であることに気付いたが,行使の目的でそのまま所持した。甲には偽造通貨収得罪が成立する。
4.甲は,行使の目的で,他人が振り出した額面10万円の小切手の金額欄に「0」を加え,額面100万円の小切手に改ざんした。甲には有価証券変造罪が成立する。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:3について、刑法150条は

 

「行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

「構成要件的行為は,偽貨の収得である。これは,偽貨を偽貨と知りつつ取得する一切の行為を含む」

 

山口厚『刑法』386頁

 

 

4について、最判昭和36年9月26日は

 

「 所論は判例違反を主張する。所論の点に関し第一審判決の判示三の事実は、要す
るに、被告人Bは外二名と共謀のうえ、銀行振出の小切手を改ざんしこれを債権者
に呈示して行使しようと企て、(1)行使の目的をもつてほしいままに株式会社D
銀行E支店長F振出にかかる金額五百円の小切手一通の金額欄の記載の「金五百円
也」のうち「百」の文字の部分にチエツクライターで「万」の一字を重ね打つて押
捺記入する方法によつてその金額五百円を五万円に改ざんし、(2)行使の目的を
もつてほしいままに、いずれも右銀行E支店長F振出にかかる金額五百円および金
額千円の小切手各一通の各金額欄に前同様の方法によりその金額五百円を五百万円
に、また金額千円を千万円にそれぞれ改ざんした後、右金額五百万円の改ぎん小切
手一通を判示債権者Gに対し真正に成立したもののごとく装い呈示行使したものである、というのであり、原判決は右第一審判決判事実を是認した上、右改ざんの各
所為は刑法一六二条一項の有価証券偽造罪に当るとしてこれを適用処断した第一審
判決の法令の適用を是認し、右法条の解釈につき昭和七年九月九日大審院判例を引
用する。
 けれども行使の目的をもつてほしいままに右判示の如く他人振出名義の小切手の
金額欄の金額数字を改ざんする所為は小切手の変造であつて有価証券変造罪に当る
ものと解すべきであるから、この点に関する原判示は刑法一六二条一項の解釈を誤
まつたものというほかなく、論旨引用の大審院明治三四年(れ)七五九号同年五月
三一日判決および同院大正三年(れ)一四二号同年五月七日判決の趣旨とも相反す
る訳ではあるが、しかし、有価証券の偽造、変造はともに同条同項に該当し、その
各行使も同法一六三条一項に該当することに変りはないから、右法律解釈の誤は原
判決に影響を及ぼさず、原判決破棄の理由とするに足らない。論旨は結局理由なき
に帰する。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、3が誤りで、4が正しいです。

しほうちゃれんじ 1183

乙:Fantasy has in store for you

 

出典:Earth, Wind & Fire – Fantasy Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:storeをstoneと書いてしまった。

 

今日の問題は、新司法試験平成21年民事系第60問アとオです。

 

ア.確定した給付判決がある場合でも,時効中断のために訴えの提起以外に適当な方法がないときは,当該給付判決の対象となった給付請求権について再度訴えを提起する利益が認められる。
オ.特定の財産が特別受益財産に当たることの確認を求める訴えは,相続分又は遺留分をめぐる紛争を直接かつ抜本的に解決することになるから,確認の利益を有する。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:ねふゅー。。

 

乙:アについて、大判昭和6年11月24日は

 

「確定判決ハ主文ニ包含スルモノニ限リ既判力ヲ有スルコトハ民事訴訟法第百九十九条第一項ノ規定スル所ナリト雖右ハ同一事案ニ付再訴ヲ禁シタルモノニ非ス苟モ権利保護ヲ国家ニ対シテ要求スル利益アルトキハ同一事件ニ付再ヒ訴求スルコトヲ妨ケサルモノトス然リ而シテ給付訴訟ニ於テ原告勝訴ノ判決確定シタルトキト雖事実上強制執行ヲ為シ得サル場合ナキニ非ス斯ル場合ニ債権者ニ於テ其ノ請求権カ時効ニ因リ消滅スルコトヲ防止セントスルニハ之カ時効中断ノ挙ニ出ツルノ外ナク而モ其ノ時効中断ノ方法ニ種々アリトスルモ裁判上ノ請求(破産ノ申立ヲ包含スル)ニ依ルニ非サレハ到底其ノ目的ヲ達シ得サル場合ナキニ非ス斯ル場合ニ於テ給付ノ判決確定後ニ於ケル時効中断ノ為ニスル再訴ハ権利ノ保護ヲ裁判所ニ要求スル利益アルモノト謂ハサルヘカラス本件ニ於テ上告人ハ曩ニ確定シタル給付判決ノ目的タル手形債権ノ消滅時効ヲ中断センカ為本訴ヲ提起シタルモノナレハ原審ハ宜シク本訴ニ依ルノ外時効中断ノ方法ナキモノナルヤ否ノ事実ヲ審究スルコトヲ要スルニ拘ラス此ノ挙ニ出ツルコトナク論旨摘録ノ如ク判示シテ上告人ノ請求ヲ排斥シタルハ審理不尽又ハ理由不備ノ不法アルモノニシテ論旨ハ理由アルモノトス」

 

と、判示しています。

 

 

オについて、最判平成7年3月7日は

 

「 民法九〇三条一項は、共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻、
養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与を受けた者があるときは、被相続
人が相続開始の時において有した財産の価額に右遺贈又は贈与に係る財産(以下「
特別受益財産」という。)の価額を加えたものを相続財産とみなし、法定相続分又
は指定相続分の中から特別受益財産の価額を控除し、その残額をもって右共同相続
人の相続分とする旨を規定している。すなわち、右規定は、被相続人が相続開始の
時において有した財産の価額に特別受益財産の価額を加えたものを具体的な相続分
を算定する上で相続財産とみなすこととしたものであって、これにより、特別受益
財産の遺贈又は贈与を受けた共同相続人に特別受益財産を相続財産に持ち戻すべき
義務が生ずるものでもなく、また、特別受益財産が相続財産に含まれることになる
ものでもない。そうすると、ある財産が特別受益財産に当たることの確認を求める
訴えは、現在の権利又は法律関係の確認を求めるものということはできない。
 過去の法律関係であっても、それを確定することが現在の法律上の紛争の直接か
つ抜本的な解決のために最も適切かつ必要と認められる場合には、その存否の確認
を求める訴えは確認の利益があるものとして許容される(最高裁昭和四四年(オ)第七一九号同四七年一一月九日第一小法廷判決・民集二六巻九号一五一三頁参照)
が、ある財産が特別受益財産に当たるかどうかの確定は、具体的な相続分又は遺留
分を算定する過程において必要とされる事項にすぎず、しかも、ある財産が特別受
益財産に当たることが確定しても、その価額、被相続人が相続開始の時において有
した財産の全範囲及びその価額等が定まらなければ、具体的な相続分又は遺留分が
定まることはないから、右の点を確認することが、相続分又は遺留分をめぐる紛争
を直接かつ抜本的に解決することにはならない。また、ある財産が特別受益財産に
当たるかどうかは、遺産分割申立事件、遺留分減殺請求に関する訴訟など具体的な
相続分又は遺留分の確定を必要とする審判事件又は訴訟事件における前提問題とし
て審理判断されるのであり、右のような事件を離れて、その点のみを別個独立に判
決によって確認する必要もない。
 以上によれば、特定の財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確
認の利益を欠くものとして不適法である。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、アが正しく、オが誤りです。

しほうちゃれんじ 1182

乙:Now if we had the power

To bring our neighbors home from war

They would have never missed a Christmas

 

出典:John Mayer – Waiting on the World to Change Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:反戦歌だったらしい。

 

今日の問題は、予備試験平成28年第17問イとエです。

 

発行済株式の総数が5000株である株式会社が,募集株式について,金銭以外の財産(以下「現物出資財産」という。)を出資の目的とする旨並びに当該財産の内容及び価額を定めた場合における検査役の調査の要否に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。なお,特別法の規定により現物出資財産の出資に関する会社法の規定の適用が除外される場合は,考慮しないものとする。(中略)
イ.当該株式会社が現物出資財産について定めた価額の総額が500万円である場合には,当該現物出資財産の価額に関する検査役の調査は不要である。

エ.当該株式会社から1000株の割当てを受けた募集株式の引受人が,現物出資財産として,その価額が1000万円と定められた不動産を給付する場合において,当該価額が相当であることについて税理士の証明を受けたときは,当該証明を受けた当該不動産について現物出資財産の価額に関する検査役の調査は不要である。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:イについて、会社法207条9項2号は

 

「前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
二 現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額の総額が五百万円を超えない場合 当該現物出資財産の価額」

 

同条2項は

 

「前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。」

 

と、規定しています。

 

 

エについて、会社法207条9項4号は

 

「四 現物出資財産について定められた第百九十九条第一項第三号の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 当該証明を受けた現物出資財産の価額」

 

同法199条1項3号は

 

「株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、イが正しく、エが誤りです。

しほうちゃれんじ 1181

乙:Make me a fisher of men

 

出典:https://m.youtube.com/watch?v=8t8zA1N6mCY

 

感想:英国人の子供が歌わされる歌らしい。

 

今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第39問エです。

 

募集事項として募集株式と引換えにする金銭の払込み又は現物出資財産の給付の期日が定められている場合において,当該期日に出資の履行をしなかった募集株式の引受人は,当該出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利を法律上当然に失うものではない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:会社法208条5項は

 

「募集株式の引受人は、出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利を失う。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。