刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1184

乙:Mama, help me, I've been cursed

 

出典:Linkin Park – Bleed It Out Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:現在完了形。

 

今日の問題は、司法試験平成29年第4問3と4です。

 

3.甲は,情を知らずに釣銭として偽造通貨を受け取ったところ,その後,それが偽造通貨であることに気付いたが,行使の目的でそのまま所持した。甲には偽造通貨収得罪が成立する。
4.甲は,行使の目的で,他人が振り出した額面10万円の小切手の金額欄に「0」を加え,額面100万円の小切手に改ざんした。甲には有価証券変造罪が成立する。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:3について、刑法150条は

 

「行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

「構成要件的行為は,偽貨の収得である。これは,偽貨を偽貨と知りつつ取得する一切の行為を含む」

 

山口厚『刑法』386頁

 

 

4について、最判昭和36年9月26日は

 

「 所論は判例違反を主張する。所論の点に関し第一審判決の判示三の事実は、要す
るに、被告人Bは外二名と共謀のうえ、銀行振出の小切手を改ざんしこれを債権者
に呈示して行使しようと企て、(1)行使の目的をもつてほしいままに株式会社D
銀行E支店長F振出にかかる金額五百円の小切手一通の金額欄の記載の「金五百円
也」のうち「百」の文字の部分にチエツクライターで「万」の一字を重ね打つて押
捺記入する方法によつてその金額五百円を五万円に改ざんし、(2)行使の目的を
もつてほしいままに、いずれも右銀行E支店長F振出にかかる金額五百円および金
額千円の小切手各一通の各金額欄に前同様の方法によりその金額五百円を五百万円
に、また金額千円を千万円にそれぞれ改ざんした後、右金額五百万円の改ぎん小切
手一通を判示債権者Gに対し真正に成立したもののごとく装い呈示行使したものである、というのであり、原判決は右第一審判決判事実を是認した上、右改ざんの各
所為は刑法一六二条一項の有価証券偽造罪に当るとしてこれを適用処断した第一審
判決の法令の適用を是認し、右法条の解釈につき昭和七年九月九日大審院判例を引
用する。
 けれども行使の目的をもつてほしいままに右判示の如く他人振出名義の小切手の
金額欄の金額数字を改ざんする所為は小切手の変造であつて有価証券変造罪に当る
ものと解すべきであるから、この点に関する原判示は刑法一六二条一項の解釈を誤
まつたものというほかなく、論旨引用の大審院明治三四年(れ)七五九号同年五月
三一日判決および同院大正三年(れ)一四二号同年五月七日判決の趣旨とも相反す
る訳ではあるが、しかし、有価証券の偽造、変造はともに同条同項に該当し、その
各行使も同法一六三条一項に該当することに変りはないから、右法律解釈の誤は原
判決に影響を及ぼさず、原判決破棄の理由とするに足らない。論旨は結局理由なき
に帰する。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、3が誤りで、4が正しいです。