刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1183

乙:Fantasy has in store for you

 

出典:Earth, Wind & Fire – Fantasy Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:storeをstoneと書いてしまった。

 

今日の問題は、新司法試験平成21年民事系第60問アとオです。

 

ア.確定した給付判決がある場合でも,時効中断のために訴えの提起以外に適当な方法がないときは,当該給付判決の対象となった給付請求権について再度訴えを提起する利益が認められる。
オ.特定の財産が特別受益財産に当たることの確認を求める訴えは,相続分又は遺留分をめぐる紛争を直接かつ抜本的に解決することになるから,確認の利益を有する。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:ねふゅー。。

 

乙:アについて、大判昭和6年11月24日は

 

「確定判決ハ主文ニ包含スルモノニ限リ既判力ヲ有スルコトハ民事訴訟法第百九十九条第一項ノ規定スル所ナリト雖右ハ同一事案ニ付再訴ヲ禁シタルモノニ非ス苟モ権利保護ヲ国家ニ対シテ要求スル利益アルトキハ同一事件ニ付再ヒ訴求スルコトヲ妨ケサルモノトス然リ而シテ給付訴訟ニ於テ原告勝訴ノ判決確定シタルトキト雖事実上強制執行ヲ為シ得サル場合ナキニ非ス斯ル場合ニ債権者ニ於テ其ノ請求権カ時効ニ因リ消滅スルコトヲ防止セントスルニハ之カ時効中断ノ挙ニ出ツルノ外ナク而モ其ノ時効中断ノ方法ニ種々アリトスルモ裁判上ノ請求(破産ノ申立ヲ包含スル)ニ依ルニ非サレハ到底其ノ目的ヲ達シ得サル場合ナキニ非ス斯ル場合ニ於テ給付ノ判決確定後ニ於ケル時効中断ノ為ニスル再訴ハ権利ノ保護ヲ裁判所ニ要求スル利益アルモノト謂ハサルヘカラス本件ニ於テ上告人ハ曩ニ確定シタル給付判決ノ目的タル手形債権ノ消滅時効ヲ中断センカ為本訴ヲ提起シタルモノナレハ原審ハ宜シク本訴ニ依ルノ外時効中断ノ方法ナキモノナルヤ否ノ事実ヲ審究スルコトヲ要スルニ拘ラス此ノ挙ニ出ツルコトナク論旨摘録ノ如ク判示シテ上告人ノ請求ヲ排斥シタルハ審理不尽又ハ理由不備ノ不法アルモノニシテ論旨ハ理由アルモノトス」

 

と、判示しています。

 

 

オについて、最判平成7年3月7日は

 

「 民法九〇三条一項は、共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻、
養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与を受けた者があるときは、被相続
人が相続開始の時において有した財産の価額に右遺贈又は贈与に係る財産(以下「
特別受益財産」という。)の価額を加えたものを相続財産とみなし、法定相続分又
は指定相続分の中から特別受益財産の価額を控除し、その残額をもって右共同相続
人の相続分とする旨を規定している。すなわち、右規定は、被相続人が相続開始の
時において有した財産の価額に特別受益財産の価額を加えたものを具体的な相続分
を算定する上で相続財産とみなすこととしたものであって、これにより、特別受益
財産の遺贈又は贈与を受けた共同相続人に特別受益財産を相続財産に持ち戻すべき
義務が生ずるものでもなく、また、特別受益財産が相続財産に含まれることになる
ものでもない。そうすると、ある財産が特別受益財産に当たることの確認を求める
訴えは、現在の権利又は法律関係の確認を求めるものということはできない。
 過去の法律関係であっても、それを確定することが現在の法律上の紛争の直接か
つ抜本的な解決のために最も適切かつ必要と認められる場合には、その存否の確認
を求める訴えは確認の利益があるものとして許容される(最高裁昭和四四年(オ)第七一九号同四七年一一月九日第一小法廷判決・民集二六巻九号一五一三頁参照)
が、ある財産が特別受益財産に当たるかどうかの確定は、具体的な相続分又は遺留
分を算定する過程において必要とされる事項にすぎず、しかも、ある財産が特別受
益財産に当たることが確定しても、その価額、被相続人が相続開始の時において有
した財産の全範囲及びその価額等が定まらなければ、具体的な相続分又は遺留分が
定まることはないから、右の点を確認することが、相続分又は遺留分をめぐる紛争
を直接かつ抜本的に解決することにはならない。また、ある財産が特別受益財産に
当たるかどうかは、遺産分割申立事件、遺留分減殺請求に関する訴訟など具体的な
相続分又は遺留分の確定を必要とする審判事件又は訴訟事件における前提問題とし
て審理判断されるのであり、右のような事件を離れて、その点のみを別個独立に判
決によって確認する必要もない。
 以上によれば、特定の財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確
認の利益を欠くものとして不適法である。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、アが正しく、オが誤りです。