刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1875

乙:今日の問題は、新司法試験平成20年民事系第13問アとエです。

買戻特約付売買の買主から目的不動産につき抵当権の設定を受けた者は,抵当権に基づく物上代位権の行使として,買戻権の行使により買主が取得した買戻代金債権を差し押さえることができるとする(中略)見解の論拠とすることができないもの(中略)
ア. 買戻権は留保された解除権であるところ,法定解除の法的構成ないし効果に関する直接効果
説の立場に従えば,解除(買戻権の行使)によって売買契約は遡及的に消滅し,買戻特約の登
記後にされた処分はすべて効力を失うのであって,買主が目的不動産上に設定した担保物権も
初めからなかったことになる。
エ. 買戻特約の登記に後れて目的不動産に設定された抵当権は,買戻しによる目的不動産の所有
権の買戻権者への復帰に伴って消滅するが,抵当権設定者である買主やその債権者等との関係においては,買戻権行使時まで抵当権が有効に存在していたことによって生じた法的効果まで
が買戻しによって覆滅されることはないと解すべきである。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Confined to a memory, pulling me in

出典:https://genius.com/The-hics-tangle-lyrics

感想:アルクによると、confined toは、~に閉じ込められている、~に監禁[幽閉]されている、~に捕らわれている、~に引きこもっている、などの意味です。


乙:アについて

「物上代位否定説は以下のように述べている。すなわち,買戻権は留保解除権であるところ,法定解除の法的構成ないし効果につき,直接効果説に従えば,買戻権行使により,売買契約の効果は遡及的に消滅するから,買戻特約の登記後にされた処分はすべて効力を失う。その結果,買主によって設定された抵当権もはじめからなかったことになるところ,抵当権に基づく物上代位は抵当権の存在を前提にするものであるから,買戻権の行使により抵当権が遡及的に消滅する以上,物上代位を生ずる余地がない,としている。」

辰巳法律研究所『平成29年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト3 民事系民法①』
604頁


エについて、最判平成11年11月30日は

「買戻特約付売買の買主から目的不動産につき抵当権の設定を受けた者は、抵当権に基づく物上代位権の行使として、買戻権の行使により買主が取得した買戻代金債権を差し押さえることができると解するのが相当である。けだし、買戻特約の登記に後れて目的不動産に設定された抵当権は、買戻しによる目的不動産の所有権の買戻権者への復帰に伴って消滅するが、抵当権設定者である買主やその債権者等との関係においては、買戻権行使時まで抵当権が有効に存在していたことによって生じた法的効果までが買戻しによって覆滅されることはない」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが論拠とすることができず、エが論拠とすることができます。