刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2066

乙:A harvest moon we bid farewell

出典:https://youtu.be/T3jDiXe8YdA

感想:アルクによると、bid farewellは、いとまを告げる、いとま乞いをする、告別する、という意味です。


今日の問題は、新司法試験平成24年民事系第55問イとウです。

AがBを受取人として振り出した約束手形を,Bは,白地式裏書によってCに譲渡し,Cは,こ
の手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは,記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは,この手形を取得する際,Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは,この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は,Fである。この手形の裏書欄の状況を簡略化して示したものが【図】である。
この手形に関する(中略)
【図】
第1裏書 B → (白地)
第2裏書 D → E
第3裏書 E → F
ウ.Cは,盗難の時から2年間,この手形がCから盗まれたことを証明することにより,Fに対
し,この手形の返還を請求することができる。

甲先生、よろしくお願いします!


甲:イについて

「前者が善意取得してしまえば,その後の取得者は悪意・重過失の有無にかかわらず,前者が取得した権利を承継取得する。善意取得によりEが完全な権利者となった以上,Fは,Eの下で発生した権利を裏書譲渡により承継取得するといえるからである。よって,Fは有効に権利を取得しているので,Fが,Dの盗取の事実につき悪意であっても,Aは手形金の支払を拒むことはできない。」

辰巳法律研究所「平成28年版 肢別本5 民事系商法」587頁


ウについて、手形法77条1項1号は

「左ノ事項ニ関スル為替手形ニ付テノ規定ハ約束手形ノ性質ニ反セザル限リ之ヲ約束手形ニ準用ス
一 裏書(第十一条乃至第二十条)」

同法16条2項は

「事由ノ何タルヲ問ハズ為替手形ノ占有ヲ失ヒタル者アル場合ニ於テ所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ手形ヲ返還スル義務ヲ負フコトナシ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ」

と、規定しています。

「本問の約束手形は裏書の連続が認められる。よって,Eは本問の約束手形を善意取得しており,Cは手形上の権利を失っているため,もはやFに対して手形の返還を請求できない。そして,手形の場合には,民法193条のような制約は規定されていない。」

辰巳法律研究所「平成28年版 肢別本5 民事系商法」581頁


したがって、上記記述は、イもウも誤りです。