刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2169

乙:And it's breaking you up

出典:https://genius.com/This-is-the-kit-this-is-what-you-did-lyrics

感想:アルクによると、break upは、壊れる、などの意味です。

今日の問題は、予備試験令和元年民法第12問アとエです。

過失相殺及び損益相殺に関する(中略)
ア.被害者の過失を考慮するためには,被害者に自己の行為の責任を弁識するに足りる知能が備わっていることを要する。
エ.被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害
が発生した場合において,当該疾患の態様,程度などに照らし,加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,過失相殺の規定を類推適用して,被害者の疾患を考慮することができる。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:

ご参考:https://eunsei.net/


乙:アについて、最判昭和39年6月24日は

「 未成年者が他人に加えた損害につき、その不法行為上の賠償責仕を問うには、未成年者がその行為の責任を弁識するに足る知能を具えていることを要することは民法七一二条の規定するところであるが、他人の不法行為により未成年者がこうむった損害の賠償額を定めるにつき、被害者たる未成年者の過失をしんしゃくするためには、未成年者にいかなる知能が具わっていることを要するかに関しては、民法には別段の規定はなく、ただ、この場合においても、被害者たる未成年者においてその行為の責任を弁識するに足る知能を具えていないときは、その不注意を直ちに被害者の過失となし民法七二二条二項を適用すべきではないとする当裁判所の判例(昭和二九年(オ)第七二六号、同三元年七月二〇日第二小法廷判決)があることは、所論のとおりである。しかしながら、民法七二二条二項の過失相殺の問題は、不法行為者に対し積極的に損害賠償責任を負わせる問題とは趣を異にし、不法行為者が責任を負うべき損害賠償の額を定めるにつき、公平の見地から、損害発生についての被害者の不注意をいかにしんしゃくするかの問題に過ぎないのであるから、被害者たる未成年者の過失をしんしゃくする場合においても、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足り、未成年者に対し不法行為責任を負わせる場合のごとく、行為の責任を弁識するに足る知能が具わっていることを要しないものと解するのが相当である。」

と、判示しています。


エについて、最判平成4年6月25日は

「 一 被害者に対する加害行為と被害者のり患していた疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法七二二条二項の過失相殺の規定を類推適用して、被害者の当該疾患
をしんしゃくすることができるものと解するのが相当である。けだし、このような場合においてもなお、被害者に生じた損害の全部を加害者に賠償させるのは、損害の公平な分担を図る損害賠償法の理念に反するものといわなければならないからである。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが誤りで、エが正しいです。