刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2311

乙:wish I could find a pay phone

 

出典:https://youtu.be/LXcO_NVhEpg

 

感想:アルクによると、pay phoneは、公衆電話、という意味です。

 

 

今日の問題は、平成27年予備試験刑法第1問2です。

 

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
2.拘置所に勾留中の甲は,逃走しようと考え,収容されていた房の壁を削り取って穴を開けたが,その穴が脱出可能な程度の大きさになる前に発見されたため,逃走行為に及ばなかった。甲には加重逃走未遂罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:刑法97条は

 

「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。」

 

同法98条は

 

「前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和54年12月25日は

 

 「なお、所論にかんがみ、職権により判断すると、刑法九八条のいわゆる加重逃走罪のうち拘禁場又は械具の損壊によるものについては、逃走の手段としての損壊が開始されたときには、逃走行為自体に着手した事実がなくとも、右加重逃走罪の実行の着手があるものと解するのが相当である。これを本件についてみると、原判決の認定によれば、被告人ほか三名は、いずれも未決の囚人として松戸拘置支所第三舎第三一房に収容されていたところ、共謀のうえ、逃走の目的をもつて、右第三一房の一隅にある便所の外部中庭側が下見板張りで内側がモルタル塗りの木造の房壁(厚さ約一四・二センチメートル)に設置されている換気孔(縦横各約一三センチメートルで、パンチングメタルが張られている。)の周辺のモルタル部分(厚さ約一・二センチメートル)三か所を、ドライバー状に研いだ鉄製の蝶番の芯棒で、最大幅約五センチメートル、最長約一三センチメートルにわたつて削り取り損壊したが、右房壁の芯部に木の間柱があつたため、脱出可能な穴を開けることができず、逃走の目的を遂げなかつた、というのであり、右の事実関係のもとにおいて刑法九八条のいわゆる加重逃走罪の実行の着手があつたものとした原審の判断は、正当である。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。