刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2570

乙:今日の問題は、令和4年予備試験憲法第11問ウです。

 

合憲限定解釈に関する次のアからウまでの各記述について、bの見解がaの見解の批判となっている場合(中略)
ウ.a.暴走族による集会を規制する条例における「暴走族」の定義が社会通念上の暴走族以外の集団が含まれる文言であっても、条例全体から読み取ることができる趣旨やその施行規則の規定等を総合して解釈すれば、規制対象となる「暴走族」は、暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族及びその類似集団に限られる。
b.「暴走族」が社会通念上、暴走行為を目的として結成された集団や、オートバイなどを集団で乗り回し、危険な運転や騒音などにより、暴走行為と同様の迷惑を他人に及ぼす者たちを指すものという理解が国民の間で定着している。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:So I cut back on the drinking 
Cut back on the smoking 

 

出典:https://youtu.be/Z31lGbA8o0I?feature=shared

 

感想:アルクによると、cut back onは、〔喫煙や浪費などの良くない習慣を〕減らす、などの意味です。

 

乙:最判平成19年9月18日は

 

「(2) 所論は,本条例16条1項1号,17条,19条の規定の文言からすれば,その適用範囲が広範に過ぎると指摘する。
なるほど,本条例は,暴走族の定義において社会通念上の暴走族以外の集団が含まれる文言となっていること,禁止行為の対象及び市長の中止・退去命令の対象も社会通念上の暴走族以外の者の行為にも及ぶ文言となっていることなど,規定の仕方が適切ではなく,本条例がその文言どおりに適用されることになると,規制の対象が広範囲に及び,憲法21条1項及び31条との関係で問題があることは所論のとおりである。しかし,本条例19条が処罰の対象としているのは,同17条の市長の中止・退去命令に違反する行為に限られる。そして,本条例の目的規定である1条は,「暴走行為,い集,集会及び祭礼等における示威行為が,市民生活や少年の健全育成に多大な影響を及ぼしているのみならず,国際平和文化都市の印象を著しく傷つけている」存在としての「暴走族」を本条例が規定する諸対策の対象として想定するものと解され,本条例5条,6条も,少年が加入する対象としての「暴走族」を想定しているほか,本条例には,暴走行為自体の抑止を眼目としている規定も数多く含まれている。また,本条例の委任規則である本条例施行規則3条は,「暴走,騒音,暴走族名等暴走族であることを強調するような文言等を刺しゅう,印刷等をされた服装等」の着用者の存在(1号),「暴走族名等暴走族であることを強調するような文言等を刺しゅう,印刷等をされた旗等」の存在(4号),「暴走族であることを強調するような大声の掛合い等」(5号)を本条例17条の中止命令等を発する際の判断基準として挙げている。このような本条例の全体から読み取ることができる趣旨,さらには本条例施行規則の規定等を総合すれば,本条例が規制の対象としている「暴走族」は,本条例2条7号の定義にもかかわらず,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外には,服
装,旗,言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団に限られる」

 

同判例の補足意見は

 

「「暴走族」の意味については,「オートバイなどを集団で乗り回し,無謀な運転や騒音などで周囲に迷惑を与える若者たち」を指すものであると理解するのが一般的であり(広辞苑第5版等),この理解はほぼ国民の中に定着しているといってよい。したがって,本条例の「暴走族」につき,上記のとおりの限定解釈ができれば,本条例の規制の対象となるものが本来的な意味における暴走族及びこれに類似する集団に限られその余の集団は対象とならないことも明確になるのであるから,「広範に過ぎる」という批判を免れるとともに,「規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ,合憲的に規制しうるもののみが規制の対象となることが明らかにされること」という大法廷判決の第1の要件が充たされるのは明らかである。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、批判となっていません。