刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2606

乙:今日の問題は、令和3年司法試験憲法第17問アです。

 

憲法訴訟に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合(中略)
ア.a.公職選挙法上の選挙無効訴訟において,選挙人である原告は,同法の規定により一定の者の選挙権が制限されていることに関し,他者の選挙権の制限に係る同規定の違憲を主張して争うことはできない。
b.公職選挙法の規定により選挙権の制限を受ける者は,自己の選挙権侵害を理由に救済を求める訴訟において同規定の違憲を主張することができる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:What does it matter if we were to close it, out of sight, far away from me

 

出典:https://genius.com/All-we-are-i-wear-you-lyrics

 

感想:アルクによると、out of sightは、見えない所に、などの意味です。

 

乙:最判平成26年7月9日は

 

「すなわち,本件訴訟は,選挙人が民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)である公職選挙法204条の選挙無効訴訟として選挙人たる資格で提起したものであるところ,民衆訴訟は,裁判所法3条1項の「法律上の争訟」ではなく同項の「その他法律において特に定める権限」に含まれるものとして,「法律に定める場合において,法律に定める者に限り,提起することができる」ものとされている(行政事件訴訟法42条)。そして,公職選挙法204条の選挙無効訴訟について,同条は選挙人又は公職の候補者のみがこれを提起し得るものと定め,同法205条1項は上記訴訟において主張し得る選挙無効の原因を「選挙の規定に違反することがあるとき」と定めており,これは,主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき又は直接そのような明文の規定は存在しないが選挙の基本理念である選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指すものと解される(最高裁昭和27年(オ)第601号同年12月4日第一小法廷判決・民集6巻11号1103頁,最高裁昭和51年(行ツ)第49号同年9月30日第一小法廷判決・民集30巻8号838頁参照)。このように,公職選挙法204条の選挙無効訴訟は,同法において選挙権を有するものとされている選挙人らによる候補者に対する投票の結果としての選挙の効力を選挙人又は候補者が上記のような無効原因の存在を主張して争う争訟方法であり,同法の規定において一定の者につき選挙権を制限していることの憲法適合性については,当該者が自己の選挙権の侵害を理由にその救済を求めて提起する訴訟においてこれを争うことの可否はおくとしても,同条の選挙無効訴訟において選挙人らが他者の選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張してこれを争うことは法律上予定されていない。そうすると,選挙人が同条の選挙無効訴訟において同法205条1項所定の選挙無効の原因として本件各規定の違憲を主張し得るものとはいえないから,この点に関する論旨は採用することができず,所論はその前提を欠くものといわざるを得ない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、bの見解はaの見解の根拠となっています。