刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 136

乙:今日は、備蓄の日です。
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_project_/a.pdf

問題は

売買契約においてその目的物であるワインを種類のみで指定し,買主の住所で引き渡すこととされていた場合において,売主が債務の本旨に従って買主の住所にワインを持参したのに,買主がその受領を拒んだ場合には,その後売主がそのワインを故意に滅失させたときであっても,売主は,ワインの引渡債務の不履行を理由とする損害賠償責任を負わない。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:

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乙:民法401条1項は

「債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。」

同条2項は

「前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。」

と、規定しています。

大判大正8年12月25日は

「不特定物カ特定物トナルノ時期ハ債務者カ物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為ヲ完了スルカ又ハ債権者ノ同意ヲ以テ其給付スヘキ物ヲ指定シタル時ナルコトハ民法第四百一条第二項ニ依リテ明カナリ仍テ債務者ハ物ヲ特定セシムル為メ如何ナル行為ヲ為スヲ必要トスルヤヲ按スルニ債務者ハ給付ノ目的物ヲ債権者ノ受領スルコトヲ得ヘキ地位ニ置キタル時ニアラサレハ給付ニ必要ナル行為ヲ為シタルモノト謂フコトヲ得ス給付ノ目的物ヲ債権者ノ受領スルコトヲ得ヘキ地位ニ置クニハ債務者カ現実ニ履行ノ提供ヲ為シタルコトヲ要スルモノニシテ所謂持参債務ノ場合ニ於テハ債務者ハ債権者ノ住所ニ到リ債務ヲ履行セサルヘカラサルモノナルヲ以テ債権者ノ住所ニ於テ履行ノ提供ヲ為スニアラサレハ給付ニ必要ナル行為ヲ為シタルモノト謂フヲ得サルナリ蓋シ持参債務ノ場合ニ於テ若シ其他ノ債務ノ場合ニ於ケル如ク債務者カ債権者ニ目的物ヲ発送シタルノミヲ以テ給付ニ必要ナル行為ヲ完了シタルモノト為ストキハ民法第四百八十四条ノ規定ニ反シ債権者ノ不利益トナルヘケレハナリ」

と、判示しています。

民法400条は

「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。」

受領遅滞について、同法413条は、

「債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないときは、その債権者は、履行の提供があった時から遅滞の責任を負う。」

と、規定しています。

2 受領遅滞の具体的効果
(中略)
(6)注意義務の軽減 本来,特定物の引渡しについては,債務者は,引渡しをするまでは善良なる管理者の注意をもってその物を保存する義務が要求されたはずであるが(400条),履行の提供をした以上は,そのような重い注意義務を免れて自己の財産におけると同一の注意義務が要求されるにとどまる。もとより,債務者は,故意・重過失によって目的物を滅失させたときは免責されない。」

川井健『民法概論3 (債権総論)』〔第2版補訂版〕
2009年、有斐閣、122, 123頁

したがって、上記記述は、誤りです。