刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 209

乙:今日の問題は

甲が,乙に対し,Aの弱みに付け込んでAから現金を喝取するように唆したところ,乙は,その旨決意し,深夜,公園にいるBをAと誤認して,現金を喝取しようとしてBを脅迫したが,人違いのため現金を喝取できず,その直後,Aを上記公園に呼び出し,Aから現金を喝取した。甲には,Aに対する恐喝既遂罪の教唆犯とBに対する恐喝未遂罪の教唆犯が成立する。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:やばい。。

乙:刑法61条1項は

「人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。」

と、規定しています。

最判昭和53年7月28日は、

「被告人が人を殺害する意思のもとに手製装薬銃を発射して殺害行為に出た結果、被告人の意図した巡査Bに右側胸部貫通銃創を負わせたが殺害するに至らなかつたのであるから、同巡査に対する殺人未遂罪が成立し、同時に、被告人の予期しなかつた通行人Aに対し腹部貫通銃創の結果が発生し、かつ、右殺害行為とAの傷害の結果との間に因果関係が認められるから、同人に対する殺人未遂罪もまた成立し(大審院昭和八年(れ)第八三一号同年八月三〇日判決・刑集一二巻一六号一四四五頁参照)、しかも、被告人の右殺人未遂の所為は同巡査に対する強盗の手段として行われたものであるから、強盗との結合犯として、被告人のBに対する所為についてはもちろんのこと、Aに対する所為についても強盗殺人未遂罪が成立する

(中略)

原判決が、被告人のBに対する故意の点については少なくとも未必的殺意が認められるが、被告人のAに対する故意の点については未必的殺意はもちろん暴行の未必的故意も認められない旨を判示していることは、所論の指摘するとおりであるが、右は、行為の実行にあたり、被告人が現に認識しあるいは認識しなかつた内容を明らかにしたにすぎないものとみるべきである。また、原判決は、Aに対する傷害について被告人の過失を認定し、過失致死傷が認められる限り、強盗の機会における死傷として刑法二四〇条の適用があるものと解する旨を判示している
が、右は強盗殺人未遂罪の解釈についての判断を示したものとは考えられない。原判決は、Aに対する傷害の結果について強盗殺人未遂罪が成立することの説明として、Bにつき殺害の未必的故意を認め、同人に対する強盗殺人未遂罪が成立するからAに対する傷害の結果についても強盗殺人未遂罪が成立するというにとどまり、十分な理由を示していないうらみがあるが、その判文に照らせば、結局、Aに対する傷害の結果について前述の趣旨における殺意の成立を認めているのであつて、強盗殺人未遂罪の成立について過失で足りるとの判断を示したものとはみられない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、正しいです。