乙:設定上、サンやエボシは関西方言、アシタカは東北方言を話すはずです。
今日の問題は、2問あります。
ア.同一の動産について複数の質権を設定することはできないが,同一の動産について複数の譲渡担保権を設定することはできる。
イ.動産を目的とする質権は占有改定の方法によるその動産の引渡しによっては効力を生じないが,動産を目的とする譲渡担保権はその設定契約によって設定され,占有改定の方法によるその動産の引渡しがあれば,譲渡担保権者は第三者に譲渡担保権を対抗することができる。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:てれびをみていたんじゃないかな。。
乙:アの前段について、民法355条は
「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。」
と、規定しています。
前段は誤りです。
イについて、民法344条は
「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」
同法345条は
「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。」
と、規定しています。
最判昭和30年6月2日は
「 原判決は、「昭和二六年三月一八日訴外CとDの両名が借主となつて被控訴人(上告人)から弁済期を同月末日と定めて金一五万円を借受けその際Cは被控訴人と本件物件(訴外Cの所有であつて、同人は訴外Dと共にこれを使用して映画館を経営していたことは当事者間に争がない。)を右債務の売渡担保に供することを約し、債務者であるC、Dの両名が弁済期に右債務の支払をしないときは、本件物件を受戻す権利を失いその所有権は完全に被控訴人に移転し、これにより被控訴人に対する右債務は当然消滅するという趣旨であつた」旨判示したことは、所論のとおりである。
そして、売渡担保契約がなされ債務者が引き続き担保物件を占有している場合には、債務者は占有の改定により爾後債権者のために占有するものであり、従つて債権者はこれによつて占有権を取得するものであると解すべきことは、従来大審院の判例とするところであることも所論のとおりであつて、当裁判所もこの見解を正当であると考える。果して然らば、原判決の認定したところによれば、上告人(被控訴人)は昭和二六年三月一八日の売渡担保契約により本件物件につき所有権と共に間接占有権を取得しその引渡を受けたことによりその所有権の取得を以て第三者である被上告人に対抗することができるようになつたものといわなければならない。
しかるに、原判決は、被控訴人(上告人)において占有改定による引渡を了したことを認むべき証拠がなく、被控訴人は右所有権の取得を以て控訴人に対抗し得ないものとし、被控訴人の本訴請求を排斥したのは違法であつて、論旨はその理由あるものというべく、原判決は破棄を免れない。」
と、判示しています。
したがって、上記記述は、アが誤りで、イが正しいです。