刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 881

乙:甲先生は、burritoについて、どう思われますか?

今日の問題は、2問あります。

監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関する(中略)
1. 判例によれば,取締役の退職慰労金については,定款又は株主総会決議で取締役に対する支給額の総額を定めることを要する。
2. 判例によれば,使用人兼務取締役については,取締役として受ける報酬に関する事項のみを株主総会で決議するのでは足りず,使用人分給与についても株主総会で決議することを要する。


甲先生、よろしくお願いします!

甲:1について、会社法361条は

「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容」

と、規定しています。

最判昭和39年12月11日は

「 原判決は、従来被上告会社(被控訴会社)において退職した役員に対し慰労金を与へるには、その都度株主総会の議に付し、株主総会はその金額、時期、方法を取締役会に一任し、取締役会は自由な判断によることなく、会社の業績はもちろん、退職役員の勤続年数、担当業務、功績の軽重等から割り出した一定の基準により慰労金を決定し、右決定方法は慣例となつているのであるが、辞任した常任監査役Dに対する退職慰労金に関する本件決議に当つては、右慣例によつてこれを定むべきことを黙示して右決議をなしたというのであり、右事実認定は、挙示の証拠により肯認できる。株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法二八〇条、同二六九条にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもつてこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されないこと所論のとおりであるが、被上告会社の前記退職慰労金支給決議は、その金額、支給期日、支給方法を無条件に取締役会の決定に一任した趣旨でなく、前記の如き一定の基準に従うべき趣旨であること前示のとおりである以上、株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもつて同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。
原判決に所論の違法がなく、一論旨は採用できない。」

と、判示しています。


2について、最判昭和60年3月26日は

「(1) 商法二六九条の規定の趣旨は取締役の報酬額について取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止する点にあるから、株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではなく、この理は、使用人兼務取締役が取締役として受ける報酬額の決定についても、少なくとも被上告会社のように使用人として受ける給与の体系が明確に確立されており、かつ、使用人として受ける給与がそれによつて支給されている限り、同様であるということができる、(2) 右のように使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法二六九条の脱法行為にあたるとはいえない、(3) 代表取締役以外の通常の取締役が当該会社の使用人を兼ねることが会社の機関の本質に反し許されないということもできない、とした原審の判断もまた、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、所論引用の判例の趣旨に抵触するところもない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、1も2も誤りです。