刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1660

乙:今日の問題は、新司法試験平成18年民事系第24問アとエです。

不動産賃貸借に関する(中略)
ア. 期間を3年間とする事務所用貸室の賃貸借契約において,賃貸人又は賃借人は期間中いつで
も2か月前の予告により契約を解約することができるとの条項がある場合でも,賃貸人は,正
当の事由の有無にかかわらず,この条項に従って契約を解約することはできない。
エ. 土地の賃貸人が借地契約の更新拒絶をするためには,正当の事由がなければならないほか,
契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に賃借人に対して更新をしない旨の通知をしな
ければならない。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:I know at times it's darkBut you don't have to take it so far

出典:https://genius.com/Gengahr-atlas-please-lyrics

感想:at timesでsometimesという意味だそうです。

ご参考:https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/time_1#time_idmg_11


乙:アについて、借地借家法30条は

「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。」

同法27条は

「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
2 前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。」

と、規定しています。


エについて、借地借家法5条は

「借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3 転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。」

同法6条は

「前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、エが誤りです。

しほうちゃれんじ 1659

乙:今日の問題は、司法試験平成25年民事系第24問エです。

売主の担保責任に関する(中略)
エ.売買の目的物である土地のために存すると称した地役権が存しなかった場合における買主の契約の解除は,買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:You came along, your love it took me by surprise

出典:https://youtu.be/TBDTIUY-1kU

感想:アルクによると、come alongは現れる、take someone by surpriseで(人)をびっくりさせるだそうです。


乙:民法566条は

「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。」

同法565条は

「前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、誤りです。

しほうちゃれんじ 1658

乙:今日の問題は、新司法試験平成21年民事系第26問イです。

契約の解除に関する(中略)
イ.委任契約が受任者の利益のためにも締結された場合であっても,委任者は,やむを得ない事由があるときには,契約を解除することができる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Don't get me wrong

出典:https://youtu.be/bHCadOLFyFo

感想:アルクによると、誤解しないで。という意味だそうです。


乙:民法651条1項は

「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」

と、規定しています。


最判昭和43年9月20日は

「合名会社米山商事をも含めた訴外真水建設株式会社に対する債権者が、右真水建設の事業を継続せしめてその再建をはかることにより自らの債権の満足をえようとして、米山商事の代表者米山らが真水建設よりその経営一切の委任を受けたというのであり、右委任に基づいて米山らは本件請負工事を続行したというのであるから、本件委任事務の処理は、委任者の利益であると同時に受任者の利益でもある場合にあたるものというべきである。そして、委任が当事者双方の対人的信用関係を基礎とする契約であることに徴すれば、右のような場合においても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等やむをえない事由があるときは、委任者は民法六五一条に則り委任契約を解除することができるものと解するのを相当とする(昭和三九年(オ)第九八号・同四〇年一二月一七日第二小法廷判決・裁判集八一号五六一頁)。
 而して、原審の確定する事実によれば、米山商事は、真水建設の乗用車一台を私物視して他の債権者に非難され、また、真水建設所有の不動産を他の債権者および真水建設の承諾もなく所有名義を米山商事に移転したため、他の債権者の足並みが乱れ、右事実に端を発し、他の債権者も我勝ちに真水建設の動産類を持ち出し、遂に真水建設は不渡を出すに至った、というのであるから、このような受任者である会社の代表者米山らの行動は、著しく不誠実なものというべく委任者たる真水建設としては、委任契約を解除するに足りるやむをえない事由あるものということができる。したがって、真水建設のした本件委任契約解除の意思表示を有効と認めた原審の判断は、結局正当である。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。

しほうちゃれんじ 1657

乙:今日の問題は、新司法試験平成18年民事系第23問アイウです。

第三者のためにする契約に関する(中略)
ア. Aが宝石をBに売り,その代金をBがCに支払うとの契約を締結し,Cが受益の意思表示を
した場合,BがAの詐欺を理由にこの契約を取り消しても,CがAの詐欺について善意無過失
であるときは,Bは,詐欺取消しをCに対抗することはできない。
イ. Aが宝石をBに売り,その代金をBがCに支払うとの契約を締結し,Cが受益の意思表示を
した場合,Aが宝石をBに引き渡したが,Bが代金をCに支払わないときは,CはBに対して
代金を自己に支払うよう請求することができるが,AもBに対して代金をCに支払うよう請求
することができる。
ウ. Aが宝石をBに売り,代金は,AがDと連帯してCに対して負っている借入金債務を弁済するため,BがCに支払うとの契約を締結した場合,既にDがCに対する債務を弁済していたと
きは,Cが受益の意思表示をした後であっても,Aは,Bとの契約を合意解除することができる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:Lower your voice

出典:https://youtu.be/lcPCl8l6UsM

感想:アルクによると、lower one's voiceで声を低くする[落とす]という意味だそうです。


乙:アについて、民法539条は

「債務者は、第五百三十七条第一項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。」

同法96条1項は

「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」

と、規定しています。

「第三者のためにする契約の第三者は,詐欺取消しについて規定した96条3項にいう「第三者」には該当しない。この「第三者」とは,詐欺の事実を知らないで,詐欺による法律行為に基づいて取得された権利について,新たに利害関係に入った者を意味するが,第三者のためにする契約の第三者の権利は,直接に詐欺による法律行為から生じたものだからである。」

辰巳法律研究所『平成29年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト4 民事系民法②』984頁


イについて、民法537条1項、2項は

「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。」

と、規定しています。

「他方,要約者も原則として,諾約者に対して第三者に対して債務を履行するよう請求する権利を有する。そして要約者のこの権利は,第三者が受益の意思表示をした後にも失われず,要約者は諾約者に対して,第三者に対して債務を履行するよう請求することができる。」

辰巳法律研究所『平成29年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト4 民事系民法②』984頁


ウについて、民法538条は

「前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。
2 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、アとウが誤りで、イが正しいです。

しほうちゃれんじ 1656

乙:今日の問題は、新司法試験平成23年民事系第22問ウとオです。

弁済による代位に関する(中略)
ウ.1000万円の主たる債務に対する連帯保証人と物上保証人が一人ずついたところ,連帯保証人が債権者に弁済をする前に,物上保証の目的不動産が三人の共同相続人により相続され共
有となった場合,その後連帯保証人が全額弁済をすると,この者が法定代位する債権額の合計
は750万円である。
オ.保証人が債権者に弁済をした場合,債務者との間であらかじめ求償権につき法定利率を超える利率による遅延損害金を支払う特約をしていたとしても,当該債務者の物上保証人との関係においては,保証人が取得した求償権についての遅延損害金は,法定利率の範囲に限定され
る。


甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:Let’s leave those high notes for the birds

出典:https://youtu.be/l2Be9Fxg-S8

感想:notesは音符という意味だと思います。


乙:ウについて、民法501条1項、3項4号は

「前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。
3 第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。
四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。」

と、規定しています。

最判平成9年12月18日は

「民法五〇一条五号には、保証人と物上保証人の間における弁済による代位の割合は頭数によるべきことが規定されているところ、単独所有であった物件に担保権が設定された後、これが弁済までの間に共同相続により共有となった場合には、弁済の時における物件の共有持分権者をそれぞれ一名として右頭数を数えるべきものと解するのが相当である。けだし、弁済による代位は、弁済がされたことによって初めて生ずる法律関係であるところ、弁済の時点においては、各相続人がそれぞれ相続によって自己の取得した共有持分を担保に供しているのであるから、各相続人それぞれが民法五〇一条五号の物上保証人に当たるというべきであるからである。当初から共有に属していた物件について全共有者が共有持分を担保に供した場合には、共有者ごとに頭数を数えるべきことは明らかであり、この場合と、単独所有であった物件に担保権が設定された後に弁済までの間に相続又は持分譲渡等により共有になった場合とで、頭数を別異に解することは、法律関係を複雑にするだけで、必ずしも合理的でない。確かに、相続という偶然の事情により頭数が変化することは当事者の意思ないし期待に反する場合がないではないが、このように頭数が変化する事態は、保証人の増加、担保物件の滅失等によっても起こり得ることであり、弁済時における人数と解することにより法律関係の簡明を期するのが相当である。」

と、判示しています。


オについて、最判昭和59年5月29日は

「まず、上告理由のうち、保証人である被上告人は、債務者である訴外会社との間で代位弁済による求償権の内容につき民法四五九条二項によつて準用される同法四四二条二項の定める法定利息と異なる特約をしても、第三者である上告人に対しては右特約の効力をもつて対抗することができないと主張する部分について、検討する。
 弁済による代位の制度は、代位弁済者が債務者に対して取得する求償権を確保するために、法の規定により弁済によつて消滅すべきはずの債権者の債務者に対する債権(以下「原債権」という。)及びその担保権を代位弁済者に移転させ、代位弁済者がその求償権の範囲内で原債権及びその担保権を行使することを認める制度であり、したがつて、代位弁済者が弁済による代位によつて取得した担保権を実行する場合において、その被担保債権として扱うべきものは、原債権であつて、保証人の債務者に対する求償権でないことはいうまでもない。債務者から委託を受けた保証人が債務者に対して取得する求償権の内容については、民法四五九条二項によつて準用される同法四四二条二項は、これを代位弁済額のほかこれに対する弁済の日以後の法定利息等とする旨を定めているが、右の規定は、任意規定であつて、保証人と債務者との間で右の法定利息に代えて法定利率と異なる約定利率による代位弁済の日の翌日以後の遅延損害金を支払う旨の特約をすることを禁ずるものではない。また、弁済による代位の制度は保証人と債務者との右のような特約の効力を制限する性質を当然に有すると解する根拠もない。けだし、単に右のような特約の効力を制限する明文がないというのみならず、当該担保権が根抵当権の場合においては、根抵当権はその極度額の範囲内で原債権を担保することに変わりはなく、保証人と債務者が約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約によつて求償権の総額を増大させても、保証人が代位によつて行使できる根抵当権の範囲は右の極度額及び原債権の残存額によつて限定されるのであり、また、原債権の遅延損害金の利率が変更されるわけでもなく、いずれにしても、右の特約は、担保不動産の物的負担を増大させることにはならず、物上保証人に対しても、後順位の抵当権者その他の利害関係人に対しても、なんら不当な影響を及ぼすものではないからである。そして、保証人と右の利害関係人とが保証人と債務者との間で求償権の内容についてされた特約の効力に関して物権変動の対抗問題を生ずるような関係に立つものでないことは、右に説示したところから明らかであり、保証人は右の特約を登記しなければこれをもつて右の利害関係人に対抗することができない関係にあるわけでもない(法がそのような特約を登記する方法を現に講じていないのも、そのゆえであると解される。)。以上のとおりであるから、保証人が代位によつて行使できる原債権の額の上限は、これらの利害関係人に対する関係において、約定利率による遅延損害金を含んだ求償権の総額によつて画されるものというべきである。
(中略)
四 叙上の見解に立つて、本件についてみるに、原審の適法に確定した前記事実関係のもとにおいては、被上告人が本件配当期日において訴外会社に対して有する原債権は、被上告人が届出をした貸金元本四五四万円及びこれに対する期限の利益を失い残額を一時に支払うべきこととなつた日ののちの日である昭和五一年七月二〇日から本件配当期日である昭和五二年七月二二日まで貸付の際の約定利率である年一八・二五パーセントの割合による遅延損害金八三万五三六〇円を超えて存在することは明らかであり、右の原債権を担保する被上告人の本多に対して有する根抵当権の極度額は六〇〇万円であり、そして被上告人が本件配当期日において訴外会社に対して有する求償権は、代位弁済した四五四万円及びこれに対する信用保証の委託申込を承諾したときにおける求償権の内容についての特約に基づく遅延損害金である代位弁済の日の翌日である昭和五一年七月二〇日から本件配当期日である昭和五二年七月二二日まで年一八・二五パーセントの割合による遅延損害金八三万五三六〇円となるから、被上告人は、原債権である貸金元本四五四万円(なお原判決添付第二売却代金交付計算書中順位7の債権の種類として「代位弁済元金」とあるのは右貸金元本の趣旨と解すべきである。)、遅延損害金八三万五三六〇円の交付を受けることができ、上告人は全く交付を受けることができないものというべきである。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、ウが正しく、オが誤りです。

しほうちゃれんじ 1655

乙:今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第20問アとエです。


弁済による代位に関する(中略)
ア. 後順位抵当権者は,先順位抵当権者の被担保債権を代位弁済したときは,債権者に代位して
先順位抵当権を取得する。
エ. 代位弁済をした保証人が原債権を行使してその給付を請求する場合には,保証人は,主たる債務者に対する求償権の成立及びその内容について主張立証することを要しない。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:Fated to kill the sweetest things
One by one

出典:https://youtu.be/FDLWI3VQb40

感想:アルクによると、one by oneで一つずつという意味だそうです。


乙:アについて、民法499条は

「債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。」

同法474条2項は

「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。」

と、規定しています。

大決昭和6年12月18日は

「債務ノ弁済ニ付正当ノ利益ヲ有スル者カ弁済ヲ為シタルトキハ其ノ者ハ之ニ因リ当然債権者ニ代位スルモ旧債権者ノ抵当権ハ之カ抛棄ヲ為サハ格別代位弁済ニ因リ当然ニハ消滅セサルコト民法第五百条ノ法意ニ徴シテ明ナルヲ以テ旧債権者ニ於テ抵当権実行ノ為既ニ競売ノ申立ヲ為シ該手続進行中ナリシ場合ニ於テハ裁判所ニ対スル競売申立取下ノ手続ニ依ルニ非サレハ該手続ノ廃止ハ之ヲ求ムルコトヲ得ス然ラハ則チ代位債権者カ弁済ヲ以テ基本抵当権ノ消滅ヲ主張シ競売手続ノ廃棄ヲ請求スルモ之ニヨリテ競売手続ノ進行ハ廃止セラルヘキニアラス然ルニ原決定カ論旨摘録ノ如ク説示シ代位債権者ノ右主張及請求ヲ以テ競売追行ノ権利ヲ抛棄シタルモノトナシ一方競売手続ハ基本タル抵当権ノ消滅ノ為最早続行ヲ許ササルニ至リタルモノト為シタルハ違法ニシテ論旨ハ理由アリ」

と、判示しています。

同法501条1項は

「前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。」

と、規定しています。


エについて、最判昭和61年2月20日は

「弁済による代位の制度は、代位弁済者の債務者に対する求償権を確保することを目的として、弁済によつて消滅するはずの債権者の債務者に対する債権(以下「原債権」という。)及びその担保権を代位弁済者に移転させ,代位弁済者がその求償権を有する限度で右の原債権及びその担保権を行使することを認めるものである。それゆえ、代位弁済者が代位取得した原債権と求償権とは、元本額、弁済期、利息・遅延損害金の有無・割合を異にすることにより総債権額が各別に変動し、債権としての性質に差違があることにより別個に消滅時効にかかるなど、別異の債権ではあるが、代位弁済者に移転した原債権及びその担保権は、求償権を確保することを目的として存在する附従的な性質を有し、求償権が消滅したときはこれによつて当然に消滅し、その行使は求償権の存する限度によつて制約されるなど、求償権の存在、その債権額と離れ、これと独立してその行使が認められるものではない。したがつて、代位弁済者が原債権及び担保権を行使して訴訟においてその給付又は確認を請求する場合には、それによつて確保されるべき求償権の成立、債権の内容を主張立証しなければならず、代位行使を受けた相手方は原債権及び求償権の双方についての抗弁をもつて対抗することができ、また、裁判所が代位弁済者の原債権及び担保権についての請求を認容する場合には、求償権による右のような制約は実体法上の制約であるから、求償権の債権額が常に原債権を上回るものと認められる特段の事情のない限り、判決主文において代位弁済者が債務者に対して有する求償権の限度で給付を命じ又は確認しなければならないものと解するのが相当である。
 右の見解に立つて、本件についてみるに、本件は、代位弁済者から債権譲渡を受けた被上告人が原債権たる本件貸金債権についての連帯保証人の相続人である上告人に対し代位取得にかかる原債権たる本件貸金債権を担保する本件連帯保証債権を行使してその履行を請求したのであるから、被上告人に対し、右の代位行使によつて確保されるべき求償権につきその発生、帰属、債権の内容を主張立証させてこれを確定し、かつ、判決主文において、被上告人が日信印刷に対して有する求償権の限度で上告人に対し連帯保証にかかる金員の支払を命じなければならないものというべきである。したがつて、求償権につきなんら確定せず、かつ、判決主文において求償権との関係を示すことなく、上告人に対し本件連帯保証債権にかかる金員の支払を命じた原判決には、審理不尽、理由不備の違法並びに判決の結論に影響を及ぼすことの明らかな法令の解釈適用の誤りがあり、原判決はこの点で破棄を免れない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、エが誤りです。

しほうちゃれんじ 1654

乙:今日の問題は、新司法試験平成18年民事系第28問3です。

債権者が,主たる債務者の財産について,金銭の支払を目的とする債権についての強制執行を申し立て,その手続の開始決定がされた場合,貸金等根保証契約における主たる債務の元本は,その申立ての時に確定する。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:And we're burning all the bridges now
Watching it go up in flames
No way to build it up again

出典:https://genius.com/Broods-bridges-lyrics

感想:アルクによると、go up in flamesで、焼失するなどの意味です。


乙:民法465条の4第1号は

「次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
一 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、正しいです。