刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1657

乙:今日の問題は、新司法試験平成18年民事系第23問アイウです。

第三者のためにする契約に関する(中略)
ア. Aが宝石をBに売り,その代金をBがCに支払うとの契約を締結し,Cが受益の意思表示を
した場合,BがAの詐欺を理由にこの契約を取り消しても,CがAの詐欺について善意無過失
であるときは,Bは,詐欺取消しをCに対抗することはできない。
イ. Aが宝石をBに売り,その代金をBがCに支払うとの契約を締結し,Cが受益の意思表示を
した場合,Aが宝石をBに引き渡したが,Bが代金をCに支払わないときは,CはBに対して
代金を自己に支払うよう請求することができるが,AもBに対して代金をCに支払うよう請求
することができる。
ウ. Aが宝石をBに売り,代金は,AがDと連帯してCに対して負っている借入金債務を弁済するため,BがCに支払うとの契約を締結した場合,既にDがCに対する債務を弁済していたと
きは,Cが受益の意思表示をした後であっても,Aは,Bとの契約を合意解除することができる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:Lower your voice

出典:https://youtu.be/lcPCl8l6UsM

感想:アルクによると、lower one's voiceで声を低くする[落とす]という意味だそうです。


乙:アについて、民法539条は

「債務者は、第五百三十七条第一項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。」

同法96条1項は

「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」

と、規定しています。

「第三者のためにする契約の第三者は,詐欺取消しについて規定した96条3項にいう「第三者」には該当しない。この「第三者」とは,詐欺の事実を知らないで,詐欺による法律行為に基づいて取得された権利について,新たに利害関係に入った者を意味するが,第三者のためにする契約の第三者の権利は,直接に詐欺による法律行為から生じたものだからである。」

辰巳法律研究所『平成29年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト4 民事系民法②』984頁


イについて、民法537条1項、2項は

「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。」

と、規定しています。

「他方,要約者も原則として,諾約者に対して第三者に対して債務を履行するよう請求する権利を有する。そして要約者のこの権利は,第三者が受益の意思表示をした後にも失われず,要約者は諾約者に対して,第三者に対して債務を履行するよう請求することができる。」

辰巳法律研究所『平成29年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト4 民事系民法②』984頁


ウについて、民法538条は

「前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。
2 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、アとウが誤りで、イが正しいです。