刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 462

乙:ダイヤモンド社のアドラー心理学の紹介を読んだら、なかなか厳しいことが書いてありました。


今日の問題も、2問あります。

ア. 第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合において,表意者が要素の錯誤を認めているときは,表意者自らは無効を主張する意思がなくても,その第三者は,意思表示の無効を主張することができる。
エ. 協議離婚に伴う財産分与契約において,分与者は,自己に譲渡所得税が課されることを知らず,課税されないとの理解を当然の前提とし,かつ,その旨を黙示的に表示していた場合であっても,財産分与契約の無効を主張することはできない。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:ふーん。

乙:民法95条は

「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。」

と、規定しています。

アについて、最判昭和45年3月26日は

「意思表示の要素の錯誤については、表意者自身において、その意思表示に瑕疵を認めず、錯誤を理由として意思表示の無効を主張する意思がないときは、原則として、第三者が右意思表示の無効を主張することは許されないものであるが(最高裁判所昭和三八年(オ)第一三四九号同四〇年九月一〇日第二小法廷判決、民集一九巻六号一五一二頁参照)、当該第三者において表意者に対する債権を保全するため必要がある場合において、表意者が意思表示の瑕疵を認めているときは、表意者みずからは当該意思表示の無効を主張する意思がなくても、第三者たる債権者は表意者の意思表示の錯誤による無効を主張することが許される」

エについて、最判平成元年9月14日は

「意思表示の動機の錯誤が法律行為の要素の錯誤としてその無効をきたすためには、その動機が相手方に表示されて法律行為の内容となり、もし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であることを要するところ(最高裁昭和二七年(オ)第九三八号同二九年一一月二六日第二小法廷判決・民集八巻一一号二〇八七頁、昭和四四年(オ)第八二九号同四五年五月二九日第二小法廷判決・裁判集民事九九号二七三頁参照)、右動機が黙示的に表示されているときであっても、これが法律行為の内容となることを妨げるものではない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、エが誤りです。