刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 474

乙:甲先生と、ふらんす菓子コミネヤに行ってもいいけど、場所がよくわかりません。

今日の問題は、2問あります。

ウ. 取得時効を主張する時効援用権者は,占有を開始した以後の任意の時点を時効の起算点として選択することができる。
エ. 相続人が,被相続人の死亡により,相続財産の占有を承継したばかりでなく,新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始して,その占有に所有の意思があるとみられる場合においては,被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも,相続人は新権原により所有の意思をもって占有を始めたものといえる。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:

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乙:ウについて、最判昭和35年7月27日は

「元来時効の制度は、長期間継続した事実状態に法的価値を認め、これを正当なものとして、そのまま法律上の秩序たらしめることを期するものであつて、これにより社会生活における法的安定性を保持することを目的とする。従つて、時効制度の本来の性質からいえば、いわゆる起算日は常に暦日の上で確定していなければならないわけのものではなく、起算日を何時と定めるにしても、その時から法律の認めた一定期間を通じ同一の事実状態が継続し、いわゆる時効期間が経過した場合には、その事実に即して、遡って当初から権利の取得又は消滅があつたものとして取扱うことは、時効の当事者間にあつては、必ずしも不合理であるとはいえないであろう。
しかし、時効による権利の取得の有無を考察するにあたつては、単に当事者間のみならず、第三者に対する関係も同時に考慮しなければならぬのであつて、この関係においては、結局当該不動産についていかなる時期に何人によつて登記がなされたかが問題となるのである。そして時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえない(民法一七七条)のに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においてはその第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうることとなると解すべきである。しからば、結局取得時効完成の時期を定めるにあたつては、取得時効の基礎たる事実が法律に定めた時効期間以上に継続した場合においても、必らず時効の基礎たる事実の開始した時を起算点として時効完成の時期を決定すべきものであつて、取得時効を援用する者において任意にその起算点を選択し、時効完成の時期を或いは早め或いは遅らせることはできない」

と、判示しています。

エについて、民法185条は

「権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。」

と、規定しています。

最判昭和46年11月30日は

「訴外Dは、かねて兄である被上告人から、その所有の本件土地建物の管理を委託されたため、本件建物の南半分に居住し、本件土地および本件建物の北半分の賃料を受領していたところ、同訴外人は昭和二四年六月一五日死亡し、上告人らが相続人となり、その後も、同訴外人の妻上告人A1において本件建物の南半分に居住するとともに、本件土地および本件建物の北半分の賃料を受領してこれを取得しており、被上告人もこの事実を了知していたというのである。しかも、上告人A2および同A3が、右訴外人死亡当時それぞれ六才および四才の幼女にすぎず、上告人A1はその母であり親権者であつて、上告人A2および同A3も上告人A1とともに本件建物の南半分に居住していたことは当事者間に争いがない。
以上の事実関係のもとにおいては、上告人らは、右訴外人の死亡により、本件土地建物に対する同人の占有を相続により承継したばかりでなく、新たに本件土地建物を事実上支配することによりこれに対する占有を開始したものというべく、したがつて、かりに上告人らに所有の意思があるとみられる場合においては、上告人らは、右訴外人の死亡後民法一八五条にいう「新権原ニ因リ」本件土地建物の自主占有をするに至つたものと解するのを相当とする。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、ウが誤りで、エが正しいです。