刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 504

乙:ボールペンのジェットストリームって、ガンダムファンが名付けたのでしょうか。

今日の問題は

ア. 不法行為による損害賠償債務は,不法行為の時に履行遅滞に陥る。
オ. 不法行為による損害賠償債権の20年の期間制限については,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合であっても,加害行為の時から起算される。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:

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乙:アについて、民法412条3項は

「債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。」

最判昭和37年9月4日は

「被上告人らが上告人の不法行為によりこうむつた損害の賠償債務の履行およびこの債務の履行遅滞による損害金として昭和三一年一月二二日以降年五分の割合による金員の支払を求める訴訟であることが記録上明らかである。そして、右賠償債務は、損害の発生と同時に、なんらの催告を要することなく、遅滞に陥るものと解するのが相当である。」

と、判示しています。

オについて、民法724条は

「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」

最判平成16年4月27日は

「民法724条後段所定の除斥期間の起算点は,「不法行為ノ時」と規定されており,加害行為が行われた時に損害が発生する不法行為の場合には,加害行為の時がその起算点となると考えられる。しかし,【要旨2】身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害や,一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害のように,当該不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合には,当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となると解すべきである。なぜなら,このような場合に損害の発生を待たずに除斥期間の進行を認めることは,被害者にとって著しく酷であるし,また,加害者としても,自己の行為により生じ得る損害の性質からみて,相当の期間が経過した後に被害者が現れて,損害賠償の請求を受けることを予期すべきであると考えられるからである。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、オが誤りです。