刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1164

乙:I played my best for Him

 

出典:Christmas Songs – Little Drummer Boy Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:prayedに聞こえていた。

 

今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第46問2と5です。

 

2. 取締役の第三者に対する責任が発生するためには,第三者に対する加害についての悪意又は重過失が要件となる。
5. 取締役が悪意又は重大な過失となる放漫経営をし,当該放漫経営により倒産した会社に対する債権を回収することができなくなる損害を被った会社債権者は,当該取締役の責任を追及することができる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:2について、会社法429条は

 

「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一 取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ 虚偽の登記
ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
二 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

三 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録」

 

と、規定しています。

 

最大判昭和44年11月26日は

 

「 しかし、法は、株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、しか
も株式会社の活動はその機関である取締役の職務執行に依存するものであることを
考慮して、第三者保護の立場から、取締役において悪意または重大な過失により右
義務に違反し、これによつて第三者に損害を被らせたときは、取締役の任務懈怠の
行為と第三者の損害との間に相当の因果関係があるかぎり、会社がこれによつて損
害を被つた結果、ひいて第三者に損害を生じた場合であると、直接第三者が損害を
被つた場合であるとを問うことなく、当該取締役が直接に第三者に対し損害賠償の
責に任ずべきことを規定したのである。
 このことは、現行法が、取締役において法令または定款に違反する行為をしたときは第三者に対し損害賠償の責に任ずる旨定めていた旧規定(昭和二五年法律第十
六七号による改正前の商法二六六条二項)を改め、右取締役の責任の客観的要件に
ついては、会社に対する義務違反があれば足りるものとしてこれを拡張し、主観的
要件については、重過失を要するものとするに至つた立法の沿革に徴して明らかで
あるばかりでなく、発起人の責任に関する商法一九三条および合名会社の清算人の
責任に関する同法一三四条ノ二の諸規定と対比しても十分に首肯することができる。
 したがつて、以上のことは、取締役がその職務を行なうにつき故意または過失に
より直接第三者に損害を加えた場合に、一般不法行為の規定によつて、その損害を
賠償する義務を負うことを妨げるものではないが、取締役の任務懈怠により損害を
受けた第三者としては、その任務懈怠につき取締役の悪意または重大な過失を主張
し立証しさえすれば、自己に対する加害につき故意または過失のあることを主張し
立証するまでもなく、商法二六六条ノ三の規定により、取締役に対し損害の賠償を
求めることができるわけであり、また、同条の規定に基づいて第三者が取締役に対
し損害の賠償を求めることができるのは、取締役の第三者への加害に対する故意ま
たは過失を前提として会社自体が民法四四条の規定によつて第三者に対し損害の賠
償義務を負う場合に限る必要もないわけである。」

 

と、判示しています。

 

5について、最大判昭和44年11月26日は

 

「しかし、法は、株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、しか
も株式会社の活動はその機関である取締役の職務執行に依存するものであることを
考慮して、第三者保護の立場から、取締役において悪意または重大な過失により右
義務に違反し、これによつて第三者に損害を被らせたときは、取締役の任務懈怠の
行為と第三者の損害との間に相当の因果関係があるかぎり、会社がこれによつて損
害を被つた結果、ひいて第三者に損害を生じた場合であると、直接第三者が損害を
被つた場合であるとを問うことなく、当該取締役が直接に第三者に対し損害賠償の
責に任ずべきことを規定したのである。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、2が誤りで、5が正しいです。