刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1622

乙:Estate with no dogs that bark?

出典:https://genius.com/Slowthai-nhs-lyrics

感想:estateには色々な意味があるようです。


今日の問題は、新司法試験平成25年刑事系第11問2です。

【事 例】
甲は,手の平で患部をたたいてエネルギーを患者に通すことにより自己治癒力を高めるとの独
自の治療を施す特別の能力を有すると称していたが,その能力を信奉していたAから,脳内出血
を発症した親族Bの治療を頼まれ,意識障害があり継続的な点滴等の入院治療が必要な状態にあったBを入院中の病院から遠く離れた甲の寄宿先ホテルの部屋に連れてくるようAに指示した上,実際に連れてこられたBの様子を見て,そのままでは死亡する危険があることを認識しながら,上記独自の治療を施すにとどまり,点滴や痰の除去等Bの生命維持に必要な医療措置を受けさせないままBを約1日間放置した結果,Bを痰による気道閉塞に基づく窒息により死亡させた。
【判 旨】
甲は,自己の責めに帰すべき事由によりBの生命に具体的な危険を生じさせた上,Bが運び込
まれたホテルにおいて,甲を信奉するAから,重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に
委ねられた立場にあったものと認められる。その際,甲は,Bの重篤な状態を認識し,これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから,直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず,未必的な殺意をもって,上記医療措置を受けさせないまま放置してBを死亡させた甲には,不作為による殺人罪が成立する。
【記 述】
2.判旨の立場によれば,この事例で甲に患者に対する未必的な殺意が認められなければ,重過失致死罪が成立するにとどまる。


甲先生、よろしくお願いします!


甲:刑法219条は

「前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」

同法218条前段は

「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。」

と、規定しています。


「この場合であっても,甲には,「直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる」という保護義務が認められるため,保護責任者となり,保護責任者遺棄致死罪(219条,218条前段)が成立し得る。」

辰已法律研究所『平成30年度版[2019年対策]司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト7 刑事系刑法』48頁


したがって、上記記述は、誤りです。