乙:今日の問題は、司法試験平成28年民法第30問アイエオです。
夫婦であるAとBの間に未成年の子Cがいる場合に関する(中略)
ア.Aが成年被後見人である場合には,Cに対する親権はAの成年後見人とBが共同で行使する。
イ.AとBがいずれも18歳である場合には,Cに対する親権は,Aの親権者とBの親権者が共同で行使し,AとBのいずれにも親権者がいない場合には,家庭裁判所がCについて未成年後見人を選任する。
エ.AとBが離婚し,BがCの親権者となった後に,BがDと再婚し,CがDの養子となった場
合には,BとDがCの親権者となる。
オ.判例によれば,Aが死亡し,その相続人がBとCの二人であり,BがCの親権者である場合
において,BがAを被相続人とする相続につき自ら相続放棄をするのと同時にCを代理してCについて相続放棄をしたときは,B及びCの相続放棄はいずれも有効となる。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:Think I need a full charger, cause my battery run out
出典:https://youtu.be/IMhPN2j5q-I
感想:アルクによると、run outは、使い果たす、使い尽くす、底を突く、売り切れる、完売になる、売り切る、品切れになる、などの意味です。
乙:アについて、民法818条3項ただし書は
「ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。」
と、規定しています。
イについて、民法753条は
「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」
同法731条は
「男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。」
同法4条は
「年齢二十歳をもって、成年とする。」
同法818条3項本文は
「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」
と、規定しています。
エについて、民法819条1,2項は
「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。」
と、規定しています。
オについて、最判昭和53年2月24日は
「共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者を後見している場合において、後見人が被後見人を代理してする相続の破棄は、必ずしも常に利益相反行為にあたるとはいえず、後見人がまずみずからの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してその相続の放棄をしたときはもとより、後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえない」
と、判示しています。
したがって、上記記述は、アとイが誤りで、エとオが正しいです。