刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1877

乙:今日の問題は、司法試験平成29年民法第15問イとエです。

A所有の甲土地には,BのAに対する500万円の債権を担保するための第一順位の抵当権,CのAに対する1000万円の債権を担保するための第二順位の抵当権及びDのAに対する2000万円の債権を担保するための第三順位の抵当権がそれぞれ設定されているが,EのAに対する2000万円の債権を担保するための担保権は設定されていない。この場合において,甲土地の競売により2500万円が配当されることになったときに関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。なお,各債権者が有する債権の利息及び損害金並びに執行費用は考慮しないものとする。(中略)
イ.競売の申立て前にEの利益のためにBの抵当権が放棄されて対抗要件が備えられていたと
きは,Bに100万円,Cに1000万円,Dに1000万円,Eに400万円が配当され
る。
エ.競売の申立て前にDの利益のためにBの抵当権の順位が放棄されて対抗要件が備えられて
いたときは,Cに1000万円,Dに1500万円が配当される。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Let me prove that my heart has moved
And I will dry my eyes

出典:https://genius.com/Young-and-sick-angels-lyrics

感想:アルクによると、dry one's eyesは、涙を拭くという意味です。


乙:民法376条1項は

「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。」

と、規定しています。

イについて

「「放棄」とは,処分者の有する優先弁済権を受益者との関係で主張しないことである。また,放棄は相対的なものであるから,債務者に対して抵当権を失うことはなく,配当額は放棄者と受益者とで債権額に従って按分する。本記述では,抵当権の放棄がBからEに対してなされ,Bは自らの優先弁済権をEとの関係では主張しないのだから,Bのもともとの配当額500万円が,BとEとの各債権額に按分比例して配当される。よって,Bに100万円,Cに1000万円,Dに1000万円,Eに400万円が配当される。」

辰巳法律研究所『平成29年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト3 民事系民法①』
638頁


エについて

「順位を放棄した者は放棄を受けた者との関係で同順位となる。本記述では,抵当権の順位の放棄がBからDに対してなされ,Bは自らの優先弁済権をDに主張しないのだから,BとDとが平等の優先弁済権を有することになり,B,Dが本来それぞれ受けるはずであった500万円と1000万円を合わせた1500万円が,B,Dの債権額に応じて按分される。よって,Bに300万円,Cに1000万円,Dに1200万円が配当される。」

同638-639頁


したがって、上記記述は、イが正しく、エが誤りです。