刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2161

乙:Why don't you come

出典:https://genius.com/Alpine-villages-lyrics

感想:アルクによると、Why don't youは、~したらどうだい、~しませんか?、などの意味です。


今日の問題は、予備試験令和元年刑法第5問5です。

正当防衛に関する(中略)
5.財産的権利を防衛するために相手方の身体に暴行を加えて傷害を負わせた場合,その暴行行
為については,正当防衛が成立する余地はない。

甲先生、よろしくお願いします!


甲:最判昭和44年12月4日は

「刑法三六条一項にいう「已ムコトヲ得サ
ルニ出テタル行為」とは、急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味するのであつて、反撃行為が右の限度を超えず、したがつて侵害に対する防衛手段として相当性を有する以上、その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であつても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではないと解すべきである。本件で被告人が右Aの侵害に対し自己の身体を防衛するためとつた行動は、痛さのあまりこれをふりほどこうとして、素手でAの胸の辺を一回強く突いただけであり、被告人のこの動作によつて、被告人の指をつかんでいた手をふりほどかれたAが仰向けに倒れたところに、たまたま運悪く自動車の車体があつたため、Aは思いがけぬ判示傷害を蒙つたというのである。してみれば、被告人の右行為が正当防衛行為にあたるか否かは被告人の右行為がAの侵害に対する防衛手段として前示限度を超えたか否かを審究すべきであるのに、たまたま生じた右傷害の結果にとらわれ、たやすく被告人の本件行為をもつて、そのよつて生じた傷害の結果の大きさにかんがみ防衛の程度を超えたいわゆる過剰防衛であるとした原判決は、法令の解釈適用をあやまつた結果、審理不尽の違法があるものというべく、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであり、かつ、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。」

最判平成21年7月16日は

「さらに,Bらは,前記2(2)及び(4)のとおり,本件建物のガラスを割ったり作業員を威圧したりすることによって被告人らが請け負わせた本件建物の原状回復等の工事を中止に追い込んだ上,本件建物への第三者の出入りを妨害し,同(3)の即時抗告棄却決定の後においても,立入禁止等と記載した看板を本件建物に設置するなど,本件以前から継続的に被告人らの本件建物に対する権利等を実力で侵害する行為を繰り返しており,本件における上記不正の侵害はその一環をなすものである。
一方,被告人とBとの間には同(6)のような体格差等があることや,同(5)のとおりBが後退して転倒したのは被告人の力のみによるものとは認め難いことなどからすれば,本件暴行の程度は軽微なものであったというべきである。そうすると,本件暴行は,被告人らの主として財産的権利を防衛するためにBの身体の安全を侵害したものであることを考慮しても,いまだBらによる上記侵害に対する防衛手段としての相当性の範囲を超えたものということはできない。
以上によれば,本件暴行については,刑法36条1項の正当防衛として違法性が阻却されるから,これに正当防衛の成立を認めなかった原判決は,事実を誤認したか,同項の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。