刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2293

乙:今日の問題は、平成30年予備試験民法第6問ウです。

 

法定地上権に関する(中略)
ウ.Aが所有する甲土地上にBが所有する乙建物があるところ,甲土地にCのために第一順位の抵当権が設定された後,Bが甲土地の所有権を取得し,甲土地にDのために第二順位の抵当権を設定した場合において,Cの抵当権が弁済により消滅し,その後,Dの抵当権の実行によりEが甲土地を取得したときは,法定地上権が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:You starlet believer on your knees to pray

 

出典:https://youtu.be/1V2aYI9Orh4

 

感想:アルクによると、on one's kneesは、〔嘆願・礼拝などのために〕ひざまずいて、などの意味です。

 

乙:民法388条前段は

 

「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。」

 

と、規定しています。

 

最判平成19年7月6日は

 

「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後,甲抵当権が設定契約の解除により消滅し,その後,乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において,当該土地と建物が,甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても,乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは,法定地上権が成立するというべきである。その理由は,次のとおりである。
上記のような場合,乙抵当権者の抵当権設定時における認識としては,仮に,甲抵当権が存続したままの状態で目的土地が競売されたとすれば,法定地上権は成立しない結果となる(前掲平成2年1月22日第二小法廷判決参照)ものと予測していたということはできる。しかし,抵当権は,被担保債権の担保という目的の存する限度でのみ存続が予定されているものであって,甲抵当権が被担保債権の弁済,設定契約の解除等により消滅することもあることは抵当権の性質上当然のことであるから,乙抵当権者としては,そのことを予測した上,その場合における順位上昇の利益と法定地上権成立の不利益とを考慮して担保余力を把握すべきものであったというべきである。したがって,甲抵当権が消滅した後に行われる競売によって,法定地上権が成立することを認めても,乙抵当権者に不測の損害を与えるものとはいえない。そして,甲抵当権は競売前に既に消滅しているのであるから,競売による法定地上権の成否を判断するに当たり,甲抵当権者の利益を考慮する必要がないことは明らかである。そうすると,民法388条が規定する「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する」旨の要件(以下「同一所有者要件」という。)の充足性を,甲抵当権の設定時にさかのぼって判断すべき理由はない。
民法388条は,土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地又は建物につき抵当権が設定され,その抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときに法定地上権が設定されたものとみなす旨定めており,競売前に消滅していた甲抵当権ではなく,競売により消滅する最先順位の抵当権である乙抵当権の設定時において同一所有者要件が充足していることを法定地上権の成立要件としているものと理解することができる。原判決が引用する前掲平成2年1月22日第二小法廷判決は,競売により消滅する抵当権が複数存在する場合に,その中の最先順位の抵当権の設定時を基準として同一所有者要件の充足性を判断すべきことをいうものであり,競売前に消滅した抵当権をこれと同列に考えることはできない。
(2) これを本件についてみるに,同一所有者要件の充足性の判断は,本件2番抵当権の設定時を基準とすべきであり,この時点では,本件建物の共有者の一人である上告人Y が本件土地を単独で所有していたのであるから,本件では法定地上権の要件を充足している(最高裁昭和46年(オ)第844号同年12月21日第三小法廷判決・民集25巻9号1610頁参照)。よって,本件建物のために法定地上権が成立しているというべきである。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。