刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2530

乙:今日の問題は、令和4年予備試験行政法第17問ウです。

 

情報公開に関する次のアからウまでの各記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らし、(中略)
ウ.A県公文書公開等条例は、「県の機関等が行う交渉、渉外、争訟等の事務に関する情報であって、公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものが記録されている公文書は公開しないことができる。」と定めるところ、A県知事が懇談会で外部の飲食店を利用した際の請求書、領収書、歳出額現金出納簿及び支出証明書のうち、公表予定のない懇談会出席者の氏名が記録されてはいるものの懇談の内容が全く記録されていないものについては、同条例により公開しないことができる文書に該当しない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:You're a nice guy

And you're looking for a nice girl to fall for you for a lifetime

But that's not my vibe, I'm just tryna have fun

 

出典:https://genius.com/Bulow-not-a-love-song-lyrics

 

感想:アルクによると、for a lifetimeは、一生涯にわたって、という意味です。

 

乙:最判平成6年1月27日は

 

「 3 本件条例六条は、「実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録
されている公文書については、公文書の開示をしないことができる。」と定めており、その五号に、「県の機関又は国等の機関が行う検査、監査、取締り、争訟、交渉、入札、試験その他の事務に関する情報であって、当該事務の性質上、公開することにより、当該事務若しくは同種の事務の実施の目的が失われ、又はこれらの事務の公正若しくは適切な実施を著しく困難にするおそれのあるもの」が規定されている。
 二 原審は、右の事実関係の下において、本件文書に記録されている四二二件の
情報は、いずれも本件条例六条五号に該当するものとはいえないと判断した。その理由は、右四二二件の情報に関する交際事務は、右五号前段にいう「その他の事務」には該当するが、場合によっては、知事との交際が公表されたことを名誉に思う者もあるであろうし、また、交際の事実を公開したことにより不快等の感情を相手方に生じさせた場合でも、その程度は交際事務の実施の目的を失わせる等の結果を招くほどに強度のものではないことも多いはずであるから、右の交際事務に関する情報が右五号後段の要件に該当するというためには、その要件の存在が個別、具体的に立証されなければならないところ、本件においては、右の点について具体的な立証がないというのである。
 三 ところで、原審は、右四二二件の情報のうち交際の相手方が個人であって相手方が識別される一七〇件の情報については、これが個人のいわゆるプライバシーに関する情報の非開示を定めた本件条例六条一号に該当するとの理由で、本件処分のうち本件文書中の右情報が記録されている部分に関する部分については、結局、これを適法としている。そうすると、当審としては、本件処分のうち本件文書中のその余の二五二件の情報が記録されている部分に関する部分に限って、原審の判断の適否を検討すべきことになるところ、原審の右判断については、右二五二件の情報のうち交際の相手方が個人であって相手方が識別されない三三件の情報が同条五号に該当するとはいえないとした点は是認できるが、交際の相手方が法人等である二一九件の情報がすべて同号に該当するとはいえないとした点は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 1 知事の交際費は、都道府県における行政の円滑な運営を図るため、関係者との懇談や慶弔等の対外的な交際事務を行うのに要する経費である。このような知事の交際は、本件条例六条五号にいう交渉その他の事務に該当すると解されるから、これらの事務に関する情報を記録した文書を開示しないことができるか否かは、これらの情報を公開することにより、知事の交際事務の実施の目的が失われ、又はその公正若しくは適切な実施を著しく困難にするおそれがあるか否かによって決定されることになる。
 2 本件文書のうち、交際の相手方が個人であって相手方が識別されない知事の交際事務に関する三三件の情報が記録されているものについては、これを開示しても、これによってその交際の相手方の氏名が明らかにされるものでない以上、相手方に不満、不快の念を抱かせるような事態を招くことは考え難く、知事の交際事務の実施の目的が失われ、又はその公正若しくは適切な実施を著しく困難にするおそれはないというべきであるから、その本件条例六条五号該当性を否定した原審の判断は相当である。
 3 しかし、本件文書のうち、相手方が法人等である二一九件の情報が記録されているものは、祝儀、慶弔、広告、賛助金、贈答品、みやげ等に関するものであり、その中には、相手方の名称等が記録されているものがあり、また、一般人が通常入手し得る関連情報と照合することによって相手方が識別され得るようなものが含まれていることも当然に予想される。そして、知事の交際は、いずれにしても、相手方との間の信頼関係ないし友好関係の維持増進を目的として行われるものであるところ、相手方の名称等の公表、披露が当然予定されているような場合等は別として、相手方を識別し得るような前記文書の開示によって相手方の名称や支出金額が明らかにされることになれば、交際費の支出の要否、内容等は、県の相手方とのかかわり等をしん酌して個別に決定されるという性質を有するものであることから、不満や不快の念を抱く者が出ることが容易に予想される。そのような事態は、交際の相手方との間の信頼関係あるいは友好関係を損なうおそれがあり、交際それ自体の目的に反し、ひいては交際事務の実施の目的が失われるおそれがあるというべきである。また、これらの交際費の支出の要否やその内容等は、支出権者である知事自身が、個別、具体的な事例ごとに、裁量によって決定すべきものであるところ、交際の相手方や内容等が逐一公開されることとなった場合には、知事においても前記のような事態が生ずることを懸念して、必要な交際費の支出を差し控え、あるいはその支出を画一的にすることを余儀なくされることも考えられ、知事の交際事務の適切な実施を著しく困難にするおそれがあるといわなければならない。
 そうすると、右二一九件の情報が記録されている文書のうち交際の相手方が識別され得るものは、相手方の名称等が外部に公表、披露されることがもともと予定されているものなど、相手方の名称等を公表することによって前記のようなおそれがあるとは認められないようなものを除き、本件条例六条五号により開示しないことができる文書に該当するというべきである。
 四 以上の次第であるから、原審の判断のうち、本件文書における原判決添付別表記載の「相手方が個人」欄中の「識別されないもの」欄の三三件の情報が記録されている部分についてこれを開示しないこととした本件処分を違法とした部分は、正当として是認することができ、この部分に関する論旨は理由がない。しかし、同表記載の「相手方が法人その他の団体」欄の二一九件の情報について、その相手方が識別されるものであるか否かなどの点を個別、具体的に検討することなく、本件文書におけるこれが記録されている部分を開示しないこととした本件処分をすべて違法とした部分は、本件条例六条五号に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきであり、その違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。そうすると、この部分に関する論旨は理由があるので、原判決中この部分は破棄を免れず、以上判示したところに従って、右二一九件の情報が本件条例六条五号に該当するか否かにつき更に審理を尽くさせるため、右部分につき本件を原審に差し戻すのが相当である。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。