刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2552

乙:I hurt myself for kicks

 

出典:https://genius.com/Newdad-angel-lyrics

 

感想:アルクによると、for kicksは、〔悪事・危険行為などの動機が〕スリルを得るために、などの意味です。

 

今日の問題は、令和4年予備試験刑法第12問イです。

 

遺棄の罪に関する次の【見解】についての後記アからオまでの各【記述】のうち(中略)
【見 解】
遺棄とは、場所的離隔を生じさせることにより、要扶助者を保護のない状態に置くことをいうところ、遺棄罪(刑法第217条)の「遺棄」は、要扶助者を移動させる行為(移置)のみに限られるが、保護責任者遺棄等罪(同法第218条)の「遺棄」は、移置のほか、置き去りのように、要扶助者の移動を伴わず、行為者自身が移動することで要扶助者との場所的離隔を生じさせる行為を含む。同罪の「不保護」は、場所的離隔を伴わずに、要扶助者の生存に必要な保護を行わないことをいう。また、同罪の「保護する責任」と不真正不作為犯における作為義務は一致する。
【記 述】
イ.この【見解】に対しては、不真正不作為犯において、作為との同価値性を基礎付ける要件にすぎないはずの作為義務が、加重処罰の要件である保護責任と同視されており、妥当でないとの批判が可能である。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:「従来の通説的見解は,遺棄を場所的離隔を生じさせることにより要扶助者を保護のない状態に置くことと解し,不保護を場所的離隔によらずに要扶助者を保護しないことと解して,場所的離隔の有無によって遺棄と不保護とを区別した上,遺棄を,要扶助者の場所的移転を伴う狭義の遺棄(移置)と,置去りのように要扶助者との場所的離隔を生じさせるすべての場合を含む広義の遺棄とに分け,単純遺棄罪にいう遺棄は狭義の遺棄を意味するが,保護責任者遺棄罪にいう遺棄は広義の遺棄を意味すると解してきた。後者の置去りは不作為形態であるから,作為義務が必要であり,したがって,保護責任の存在を要件とする保護責任者遺棄罪においてのみ可罰的だと解するのである。判例も,保護責任者遺棄罪にいう遺棄には,単なる置去りも含むとして,同様の理解を採用しているものと解される(最判昭和34・7・24刑集13巻8号1163頁)。
 このような理解に対しては,①不作為の遺棄が作為の遺棄よりも加重処罰されることはないから,保護責任と作為義務とは異なるものと解する必要がある,②移置・置去りの区別は作為・不作為の区別に対応していないなどの疑問・批判がある。」

 

山口厚『刑法』212頁

 


したがって、上記記述は、正しいです。