刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2551

乙:We get thrown off course

 

出典:https://youtu.be/14YFjPk3J10?feature=shared

 

感想:アルクによると、get thrown off courseは、変調を来す、という意味です。

 

今日の問題は、令和4年予備試験刑法第12問アです。

 

遺棄の罪に関する次の【見解】についての後記アからオまでの各【記述】のうち(中略)
【見 解】
遺棄とは、場所的離隔を生じさせることにより、要扶助者を保護のない状態に置くことをいうところ、遺棄罪(刑法第217条)の「遺棄」は、要扶助者を移動させる行為(移置)のみに限られるが、保護責任者遺棄等罪(同法第218条)の「遺棄」は、移置のほか、置き去りのように、要扶助者の移動を伴わず、行為者自身が移動することで要扶助者との場所的離隔を生じさせる行為を含む。同罪の「不保護」は、場所的離隔を伴わずに、要扶助者の生存に必要な保護を行わないことをいう。また、同罪の「保護する責任」と不真正不作為犯における作為義務は一致する。
【記 述】
ア.この【見解】によれば、保護責任を有しない者が置き去り行為をした場合、刑法第217条で処罰することが可能である。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法217条は

 

「老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。」

 

同法218条は

 

「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和34年7月24日は

 

「 同第二点は、刑法二一八条の解釈の誤り、審理不尽の違法及び量刑不当を主張するが、所論はすべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。そして刑法二一八条にいう遺棄には単なる置去りをも包含すと解すべく、本件の如く、自動車の操縦者が過失に因り通行人に前示のような歩行不能の重傷を負わしめながら道路交通取締法、同法施行令に定むる救護その他必要な措置を講ずることなく、被害者を自動車に乗せて事故現場を離れ、折柄降雪中の薄暗い車道上まで運び、医者を呼んで来てやる旨申欺いて被害者を自動車から下ろし、同人を同所に放置したまま自動車の操縦を継続して同所を立去つたときは、正に「病者ヲ遺棄シタルトキ」に該当するものというべく、原判決には所論の如く法令の解釈を誤つた違法はない。また第一審判決が懲役刑の執行猶予を言渡した場合に、控訴裁判所が何ら事実の取調をしないで、第一審判決を量刑不当として破棄し、みずから訴訟記録及び第一審で取調べた証拠のみによつて、懲役刑(実刑)の言渡をしても刑訴四〇〇条但書に違反しないことは、昭和二七年(あ)第四二二三号、同三一年七月一八日大法廷判決、刑集一〇巻七号一一七三頁、の判示せるところであり、原審の訴訟手続には所論の如き審理不尽の違法はない。」
 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。