刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2588

乙:Drowning them in red wine
Dancing in a mudslide

 

出典:https://genius.com/Tilly-valentine-yours-is-mine-lyrics

 

感想:アルクによると、mudslideは、「マッドスライド◆カルーア、ウオッカ、ベイリーズ・アイリッシュ・クリームを混ぜた甘いカクテル。アイスクリームやオレオクッキーを入れる場合もある。」だそうです。

 

今日の問題は、令和3年司法試験刑法第18問2です。

 

強盗の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
2.甲は,電車内で寝ていた乙の財布を盗んで電車を降りたが,乙が目を覚まして追い掛けてきたため,逮捕を免れる目的で,乙に暴行を加えたところ,乙が転倒して重傷を負い,反抗が抑圧された状態に至った。この場合,甲の暴行の程度を問わず,甲には,強盗致傷罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法238条は

 

「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」

 

同法236条は

 

「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和24年2月8日は

 

「 他人に暴行又は脅迫を加えて財物を奪取した場合に、それが恐喝罪となるか強盗
罪となるかは、その暴行又は脅迫が、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに
足る程度のものであるかどうかと云う客観的基準によつて決せられるのであつて、
具体的事案の被害者の主観を基準としてその被害者の反抗を抑圧する程度であつた
かどうかと云うことによつて決せられるものではない。原判決は所論の判示第二の
事実について、被告人等三名が昭和二二年八月二三日午後十一時半頃被害者方に到
り、判示の如く匕首を示して同人を脅迫し同人の差出した現金二百円を強取し、更
に財布を・ぎ取つた事実を認定しているのであるから、右の脅迫は社会通念上被害
者の反抗を抑圧するに足る程度のものであることは明かである。従つて右認定事実
は強盗罪に該当するものであつて、仮りに所論の如く被害者Aに対しては偶々同人
の反抗を抑圧する程度に至らなかつたとしても恐喝罪となるものではない。果して
然らば原判決には何等所論の如き擬律錯誤の違法はない。」

 

大判昭和19年2月8日は

 

「思フニ刑法第二百三十八條ニ所謂暴行ハ相手方ノ反抗ヲ抑壓スベキ程度ノモノタルヲ要スルコト本院判例ノ示ストコロニシテ而シテ其ノ果シテ反抗ヲ抑壓スベキ程度ノモノナリヤ否ハ之ヲ抽象的ニ決スベキニアラズシテ逮捕セラレントスル具體的状況ニ徴シ果シテ當該逮捕ノ攻撃力ヲ抑壓スルニ足ル程度ノモノナリヤ否ニヨリテ決スベキモノトス蓋シ若シ然ラズトセンカ逮捕ニ當リ衝動的ニ聊カノ抵抗ヲ試ミタル竊盜犯人カ直ニ強盜ヲ以テ論ゼラレ重キ刑罰ヲ以テ莅マルル苛酷ナル結果ニ至ルノミナラズ刑法第二編第六章及第七章ニ通ズル法意ヨリシテモ之ヲ是認シ得ベキトコロナレバナリ即チ被告人カ八木馨ニ組付キテ暴行ヲ加ヘタル點モ亦刑法第二百三十八條ニ該ル行爲アリト認ムベカラザルモノトス」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。