刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2593

乙:I want to so to speak


出典:https://genius.com/Sandra-grace-done-to-me-lyrics


感想:アルクによると、so to speakは、
〔完全に正確な表現ではないが〕いわば、などの意味です。

 

今日の問題は、令和3年予備試験刑法第11問オです。

 

因果関係に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
オ.甲は,自動車を運転中,路上で過失により通行人Vに同車を衝突させてVを同車の屋根に跳ね上げ,意識を喪失したVに気付かないまま,同車の運転を続けていたところ,同乗者がVに気付き,走行中の同車の屋根からVを引きずり降ろして路上に転落させ,Vは,頭部打撲に基づく脳くも膜下出血により死亡したが,これが同車との衝突の際に生じたものか,路上に転落した際に生じたものかは不明であった。この場合,甲の上記衝突行為とVの死亡との間に,因果関係はない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:最決昭和42年10月24日は

 

「 しかしながら、原判決の判示するところによれば、被告人は、普通乗用自動車を運転中、過失により、被害者が運転していた自転車に自車を衝突させて被害者をはね飛ばし、同人は、被告人の運転する自動車の屋根にはね上げられ、意識を喪失するに至つたが、被告人は被害者を屋上に乗せていることに気づかず、そのまま自動車の運転を続けて疾走するうち、前記衝突地点から四粁余をへだてた地点で、右自動車に同乗していたAがこれに気づき、時速約一〇粁で走つている右自動車の屋上から被害者の身体をさかさまに引きずり降ろし、アスフアルト舖装道路上に転落させ、被害者は、右被告人の自動車車体との激突および舖装道路面または路上の物体との衝突によつて、顔面、頭部の創傷、肋骨骨折その他全身にわたる多数の打撲傷等を負い、右頭部の打撲に基づく脳クモ膜下出血および脳実質内出血によつて死亡したというのである。この事実につき、原判決は、「被告人の自動車の衝突による叙上の如き衝撃が被害者の死を招来することあるべきは経験則上当然予想し得られるところであるから、同乗車Aの行為の介入により死の結果の発生が助長されたからといつて、被告人は被害者致死の責を免るべき限りではない。」との判断を示している。しかし、右のように同乗者が進行中の自動車の屋根の上から被害者をさかさまに引きずり降ろし、アスフアルト舖装道路上に転落させるというがごときことは、経験上、普通、予想しえられるところではなく、ことに、本件においては、被害者の死因となつた頭部の傷害が最初の被告人の自動車との衝突の際に生じたものか、同乗者が被害者を自動車の屋根から引きずり降ろし路上に転落させた際に生じたものか確定しがたいというのであつて、このような場合に被告人の前記過失行為から被害者の前記死の結果の発生することが、われわれの経験則上当然予想しえられるところであるとは到底いえない。したがつて、原判決が右のような判断のもとに被告人の業務上過失致死の罪責を肯定したのは、刑法上の因果関係の判断をあやまつた結果、法令の適用をあやまつたものというべきである。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。