刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2540

乙:Brace for their expectations
Too much to say in

Two minutes of rotation

 

出典:https://genius.com/Aziya-wundagirl-lyrics

 

感想:アルクによると、brace forは、~に備える、という意味です。

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第1問2です。

 

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
2.暴力団組員甲は、配下の組員乙に対し、抗争状態にある暴力団組員Aとの間でもめごとが起きた場合にはAを殺害してよいが、実際にAを殺害するかは乙の判断に任せる旨伝えて拳銃を渡し、乙も了承したところ、乙は、Aともめたことから、殺意をもってAを射殺した。甲が乙とAの間でもめごとが起きることがあり得ると認識していた場合、甲には、殺人罪の故意が認められる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:最判昭和59年3月6日は

 

「 所論は、判例違反をいうが、所論引用の判例(最高裁昭和五六年(あ)第一〇〇四号同年一二月二一日第一小法廷決定・刑集三五巻九号九一一頁)は、殺害行為に関与しないいわゆる共謀共同正犯者としての殺意の成否につき、謀議の内容においては被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせていたとしても、殺害計画を遂行しようとする意思が確定的であつたときは、殺人の故意の成立に欠けるところはない旨判示しているにとどまり、犯意自体が未必的なものであるときに故意の成立を否定する趣旨のものではない。換言すれば、右判示は、共謀共同正犯者につき、謀議の内容においては被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせており、犯意自体が未必的なものであつたとしても、実行行為の意思が確定的であつたときは、殺人の故意の成立に欠けるところはないものとする趣旨と解すべきである。しかるところ、原判決には、所論の指摘するとおり、被告人は、本件殺人の共謀時においても、将来、被害者といま一度話し合う余地があるとの意思を有しており、被害者の殺害計画を遂行しようとする意思が確定的ではなかつたものとみているかに解される部分もないではないが、原判決を仔細に検討すれば、それは共謀の当初の時期における被告人の意思を記述したにとどまることが明らかである。すなわち原判決は、被告人は、A、B及びCとの間で、被害者から貸金問題について明確な回答が得られないときは、結着をつけるために、暴力的手段に訴えてでも同人を強制的に連行しようと企て、当初は、被害者と貸金問題についていま一度話し合つてみる余地もあると考えていたものの、一方では、このような緩慢な態度に終始していると舎弟頭として最後の責任をとる羽目にもなりかねないとも考え、また、本件犯行現場に向かう自動車内等でのAらの言動から、同人らが被害者の抵抗いかんによつてはこれを殺害することも辞さないとの覚悟でいるのを察知しており、Aらとともに本件犯行現場に到着した際には、同人らに対し、被害者の応対が悪いときは、その後の事態の進展を同人らの行動に委ねる旨の意思を表明していること、その後犯行現場においてA及びBが刺身包丁で被害者の左前胸部等を突き刺したうえ転倒した同人を自動車後部座席に押し込む際、「早よ足を入れんかい」などと指示し、さらに右自動車内において、Bが刺身包丁で被害者の大腿部を突き刺したのに対してもなんら制止することなく容認していたこと等の事実を認定したうえで、これらの事情を総合して、被告人は、未必の故意のもとに、実行行為者であるAらと共謀のうえ被害者を殺害した旨判示しているのである。右判示を全体としてみれば、原判決は、指揮者の地位にあつた被告人が、犯行現場において事態の進展をAらの行動に委ねた時点までには、謀議の内容においてはAらによる殺害が被害者の抵抗という事態の発生にかかつていたにせよ、Aらによつて実行行為を遂行させようという被告人の意思そのものは確定していたとして、被告人につき殺人の未必の故意を肯定したものであると理解することができる。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。