刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2595

乙:今日の問題は、令和3年予備試験刑事訴訟法第14問エです。

 

警察官職務執行法上の職務質問に関する(中略)
エ.警察官が,ホテル客室(ホテル内の通路に面して外ドアがあり,これを開けると内玄関に入ることができ,そこにある内ドアを開けると客室に入る構造)の無施錠の外ドアを開けて内玄関に立ち入り,内ドア越しに客室内に向かって声をかけたところ,相手方が,内ドアを開けたが,警察官の姿を見て慌ててそれを閉めたのに対して,警察官が,内ドアを押し開け,内玄関と客室の境の敷居上辺りに足を踏み入れ,内ドアが閉められるのを防止することは,職務質問に付随する行為として許される場合がある。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:If you believed it by and by
Once more you're playing it back

 

出典:https://youtu.be/acY8HUv-mUM?feature=shared

 

感想:アルクによると、by and byは、やがて、という意味です。

 

乙:最決平成15年5月26日は

 

「 1 警察官が内ドアの敷居上辺りに足を踏み入れた措置について 
 一般に,警察官が警察官職務執行法2条1項に基づき,ホテル客室内の宿泊客に対して職務質問を行うに当たっては,ホテル客室の性格に照らし,宿泊客の意思に反して同室の内部に立ち入ることは,原則として許されないものと解される。
 しかしながら,【要旨1】前記の事実経過によれば,被告人は,チェックアウトの予定時刻を過ぎても一向にチェックアウトをせず,ホテル側から問い合わせを受けても言を左右にして長時間を経過し,その間不可解な言動をしたことから,ホテル責任者に不審に思われ,料金不払,不退去,薬物使用の可能性を理由に110番通報され,警察官が臨場してホテルの責任者から被告人を退去させてほしい旨の要請を受ける事態に至っており,被告人は,もはや通常の宿泊客とはみられない状況になっていた。そして,警察官は,職務質問を実施するに当たり,客室入口において外ドアをたたいて声をかけたが,返事がなかったことから,無施錠の外ドアを開けて内玄関に入ったものであり,その直後に室内に向かって料金支払を督促する来意を告げている。これに対し,被告人は,何ら納得し得る説明をせず,制服姿の警察官に気付くと,いったん開けた内ドアを急に閉めて押さえるという不審な行動に出たものであった。このような状況の推移に照らせば,被告人の行動に接した警察官らが無銭宿泊や薬物使用の疑いを深めるのは,無理からぬところであって,質問を継続し得る状況を確保するため,内ドアを押し開け,内玄関と客室の境の敷居上辺りに足を踏み入れ,内ドアが閉められるのを防止したことは,警察官職務執行法2条1項に基づく職務質問に付随するものとして,適法な措置であったというべきである。本件においては,その直後に警察官らが内ドアの内部にまで立ち入った事実があるが,この立入りは,前記のとおり,被告人による突然の暴行を契機とするものであるから,上記結論を左右するものとは解されない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。