刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2685

乙:今日の問題は、令和4年司法試験憲法第17問アです。

 

司法権の限界に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして(中略)
ア.地方議会の議員に対する出席停止の懲罰に関し、その懲罰を受けた議員が取消しを求める訴えは、法令の適用によって終局的に解決し得る法律上の争訟に当たるところ、議会により出席停止の懲罰処分を科されると、その議員は、住民の負託を受けた議員としての責務を十分に果たすことができなくなるから、当該処分が議会の自律的な権能に基づいてなされたものとして、議会に一定の裁量が認められるとしても、裁判所は、常にその適否を判断することができ、司法審査の対象となる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:Tunnel vision when I decide

 

出典:https://genius.com/Crystal-murray-payback-lyrics

 

感想:アルクによると、tunnel visionは、〈比喩的・批判的〉視野が狭過ぎること、などの意味です。

 

乙:最大判令和2年11月25日は

 

「5(1) 普通地方公共団体の議会は,地方自治法並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し,議決により懲罰を科することができる(同法134条1項)ところ,懲罰の種類及び手続は法定されている(同法135条)。これらの規定等に照らすと,出席停止の懲罰を科された議員がその取消しを求める訴えは,法令の規定に基づく処分の取消しを求めるものであって,その性質上,法令の適用によって終局的に解決し得るものというべきである。
(2)ア 憲法は,地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として,その施策を住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており,普通地方公共団体の議会は,憲法にその設置の根拠を有する議事機関として,住民の代表である議員により構成され,所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有する。そして,議会の運営に関する事項については,議事機関としての自主的かつ円滑な運営を確保すべく,その性質上,議会の自律的な権能が尊重されるべきであるところ,議員に対する懲罰は,会議体としての議会内の秩序を保持し,もってその運営を円滑にすることを目的として科されるものであり,その権能は上記の自律的な権能の一内容を構成する。
イ 他方,普通地方公共団体の議会の議員は,当該普通地方公共団体の区域内に住所を有する者の投票により選挙され(憲法93条2項,地方自治法11条,17条,18条),議会に議案を提出することができ(同法112条),議会の議事については,特別の定めがある場合を除き,出席議員の過半数でこれを決することができる(同法116条)。そして,議会は,条例を設け又は改廃すること,予算を定めること,所定の契約を締結すること等の事件を議決しなければならない(同法96条)ほか,当該普通地方公共団体の事務の管理,議決の執行及び出納を検査することができ,同事務に関する調査を行うことができる(同法98条,100条)。議員は,憲法上の住民自治の原則を具現化するため,議会が行う上記の各事項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものであ る。

ウ 出席停止の懲罰は,上記の責務を負う公選の議員に対し,議会がその権能において科する処分であり,これが科されると,当該議員はその期間,会議及び委員会への出席が停止され,議事に参与して議決に加わるなどの議員としての中核的な活動をすることができず,住民の負託を受けた議員としての責務を十分に果たすことができなくなる。このような出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らすと,これが議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとして,その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。

そうすると,出席停止の懲罰は,議会の自律的な権能に基づいてされたものとして,議会に一定の裁量が認められるべきであるものの,裁判所は,常にその適否を判断することができるというべきである。

(3) したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。