刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 18

今日は、大洋デパート火災事件に
関する問題です。

営繕課の課員甲は,
消防計画作成等の防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的地位になく,
防火管理業務を遂行するための具体的な権限を与えられていなかった場合には,

デパートの防火管理者として選任届が提出されていたとしても,消防計画を作成してこれに基づく避難誘導等の訓練を実施すべき注意義務は負わない。


甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲 

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もちろん報酬もおすすめだし、
何度でもいくといいよ。

乙 最判平成3年11月14日は

原判決が被告人Gに過失があるとしたのも、是認することができない。
 すなわち、被告人Gについては、前記一の(5)のとおり、
同被告人を店舗本館の防火管理者とするH社長名義の選任届が昭和四七年一二月一五日付けで熊本市消防長あてに提出されていたものであるが、
原判決の認定及び記録によれば、更に次の事実が認められる。
 (1) 被告人Gは、昭和四五年八月にAに採用され、同年一一月中旬ころ以降、
営繕部営繕課の課員として勤務し、主に建物の修理、維持及び管理に関する仕事をしていたものであるが、その指揮監督下にある従業員は一人もいなかった。
(2) Aでは、防火管理者であった営繕部長のJが同年八月に同社を退職した後も、後任の防火管理者が選任されないまま放置されていたことから、所轄消防署や熊本市消防局から防火管理者の選任及び解任の届出をするよう指摘を受けた。
そこで、人事課長代理のMと人事部長の被告人Eが相談の上、元熊本市消防局次長兼総務課長でAの渉外部長であったNを防火管理者に選任すべく交渉したが、同人から断られたので、H社長の指示により被告人Gを選任することとし、同被告人を店舗本館の防火管理者とする選任届が提出された。
(3) 被告人Gは、右選任届が提出された直後ころに出席した防火管理者理事会で、消防法施行令の改正(昭和四七年政令第四一一号による改正)により防火管理者の社内的地位、権限に関する資格が巌しく定められることの説明を受け、被告人Eに対し自己が防火管理者にふさわしい社内的地位にないことを上申したが、何らの措置も採られなかった。
(4) 被告人Gは、その後本件火災までの間、市役所建築指導課や所轄消防署の消防に関する検査の立会い、消防署から配付された印刷物の回覧や掲示、消火器の点検や消化剤の詰め替え、消防署との連絡や打合せなどの防火管理に関する業務をしていたが、そのほとんどは上司の営繕課長と相談し、あるいは被告人Eの指示を仰ぐなどしてしたものであり、独自の判断ですることができたのは、消火器の点検や消化剤の詰め替え程度のことであった。
 右の事実関係に基づき、被告人Gが店舗本館の防火管理者として消防計画を作成し、これに基づく避難誘導等の訓練を実施すべき注意義務を負っていたかどうかについて判断する。
消防法施行令三条は、同法八条一項に定める防火管理者の資格として、所定の講習課程を修了したことなどのほか、
『当該防火対象物において防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるもの』という要件を定めているところ、
右の管理的又は監督的な地位にあるものとは、
その者が企業組織内において一般的に管理的又は監督的な地位にあるだけでなく、更に当該防火対象物における防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる権限を有する地位にあるものをいう趣旨と解される。
しかし、前記の事実関係に照らし、被告人Gがそのような地位にあったとは認められず、消防計画を作成し、これに基づく避難誘導等の訓練を実施するための具体的な権限を与えられていたとも認められない。
 もっとも、防火管理者が企業組織内において消防法八条一項に定める防火管理業務をすべて自己の判断のみで実行することができる地位、権限を有することまでは必要でなく、
必要があれば管理権原者の指示を求め(同法施行令四条一項参照)、あるいは組織内で関係を有する所管部門の協力を得るなどして業務を遂行することが消防法上予定されているものと考えられる。
しかしながら、前記の事実関係に徴すると、被告人Gが消防計画の作成等の主要な防火管理業務を遂行するためにはH社長や常務取締役らに対し、すべてそれらの者の職務権限の発動を求めるほかはなかったと認められるのであり、
このような地位にしかなかった同被告人に防火管理者としての責任を問うことはできない。
 したがって、原判決が被告人Gについて店舗本館の防火管理者としてH社長らにりん議を上げることにより消防計画を作成し、これに基づく避難誘導等の訓練を実施すべき注意義務があるとしたのは、誤りというべきである。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、正しいです。