刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 27

広島の駅弁です。

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今日の問題は、

自己の不動産に乙に対する根抵当権を設定した甲が,その登記前に丙に対して根抵当権を設定してその登記を完了する行為は背任罪に当たる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲 最判昭和31年12月7日は

「弁護人岩村辰次郎の上告趣意について。

論旨第一は、背任罪の成立要件たる事務は他人の事務であることを要件とする。
しかるに本件第一番抵当権者たるべきAに対する被告人の抵当権段定の登記義務は設定者である被告人固有の事務であつて他人の事務ではないのに、原審が被告人の所為を背任罪に問擬したのは刑法二四七条の解釈適用を誤つた違法があり、且つ憲法三一条、一一条違憲の判決であると主張する。

しかし抵当権設定者はその壁登記に関し、これを完了するまでは、抵当権者に協力する任務を有することはいうまでもないところであり、右任務は主として他人である抵当権者のために負うものといわなければならない。この点に関する原判決の判示はまことに正当である。

所論はひつきよう登記義務の性質に関し独自の見解を主張するものであつて、違憲の主張はその前提を欠く、論旨は採用できない。


論旨第二は、背任罪は、財産上の損害を加えることを成立の要件とする。

しかるに原判決は本件犯罪時における本件抵当物件の価額と両根抵当による借入債務額との関係を何等審査せずして、漫然背任罪の要件たる損害の事実を肯定したのは、審理不尽、理由不備「同そご、事実誤認の各違法があり、延いて憲法三一条、一一条違憲の違法があると主張する。

しかし、抵当権の順位は当該抵当物件の価額から、どの抵当権が優先して弁済を受けるかの財産上の利害に関する問であるから、本件被告人の所為たるAの一番抵当権を、後順位の二番抵当権たらしめたことは、既に刑法二四七条の損害に該当するものといわなければならない。されば所論の点の審査如何は何等本件犯罪の成否に消長を来すものではない。所論は背任罪の要件たる損害につき独自の見解を主張するものであり、違憲の主張はその前提を欠くものである。論旨は理由がない。

論旨第三は判例違反を主張する。

しかし所論引用の大審院判例は、既に他に抵当権設定契約をしてあるのにかかわらず、この事実を詐わり、第三者より抵当権設定を条件として金員を借り受けた所為は右第三者に対する詐欺罪を構成するとした判例であつて、本件には不適切のものであるから、論旨は採用できない。

論旨第四は、仮りに以上憲法違反並びに判例違反がないとしても、原判決は背任罪に関する法律の解釈適用を誤つた法令違反及び事実誤認の違法があると主張するのであつて、刑訴四〇五条の定める適法な上告理由に当らない。のみならず上示説明のとおり原判決には所論法令違反のないのは勿論、記録を調べても事実の誤認ありとは認め難いから、論旨は実質においても理由がない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、正しいです。